高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

初心者がなくてなった中級者と、本当の初心者。プロとセミプロ。

 とある方が興味深いことを書かれていた。が、なんだか書いているうちにぜんぜん違ったことになってしまったという、自分の思考だだ漏れの期日であります。


 よく、識者の人が「え?そんなこともしらなかったの?」と驚かれることがある。その後の反応は、「そうか……普通は知らないのか」と興味深く思ったりなされる方、「そんなこともしらないの?(プッ」と馬鹿にする人も中にはいらっしゃるようだが、そういうことが良くある。


 以前、自分が購読させていただいているメーリングリストである出来事があった。そのメーリングリストは、初心者歓迎となっているけれど、そのメーリングリストが扱っているソフトウエア事態、普通、コンピュータの初心者などは手を出さないし、出す必要も無いツールであって、そこも技術系メーリングリストに分類されるものだった。ただし、開発をしているところとはまた違って、質問も推奨されている。

 あるときも例によって、質問が投げられた。それは一番最初に配送されてくるメーリングリストへの参加心得などをきっちりまもっていて、ちゃんとした質問だった。が、質問されていること自体は、非常に簡単で、単純、端的に表されたもので、模範的な質問の仕方だった。
 そして、とある、そのメーリングリストでは非常に良く発言される方が、その質問について回答を投げた。そして、その質問者は、それに対してさらに質問を投げた。さらに答えて質問がまた投げられる、ということが繰り返されたのだけれど……。
 が、突然、回答していた人が沈黙し、そして質問者は「大変失礼しました」みたいなことを書いて沈黙した。
 なぜか。
 自分がそうなってから自分の元に配送されてきたメールを追いなおしたところ、なんとなく理由がわかった。はじめから、根本的にずれていたのだ。
 質問者は、コンピュータの事はある程度分かっているが、しかしその分野に手を出すのは初めての人。
 回答者は、その分野どころかコンピュータに精通し、開発系のメーリングリストにもよく発言をしている、いわばウイザード級の人だった。
 そして質問されたことは、その分野では「どうやって息をしてますか?」のような、非常に当たり前のことだった。そしてこれは、当たり前すぎて、あまりサイトでは取り上げられていなかったことであり、Webで検索することは不可能なようなことだった。だから質問することは、至極まっとうに思えることだったんだけれど……
 しかし、回答者はそうは思わなかったようで、その「どうやって息してますか?」のような質問に対して、深呼吸から、走った後息が上がったときどうやって効率よく整えるか、はてまたラマーズ法とか魚はえら呼吸をしてますみたいなことを教えたのである。が、結局普通にどうやって息をしているかなどは教えずに。そして、そういうことを一切氏らなった質問者は、それの前提条件が知りたくて、さらに質問した。しかしそれに対しても同じように繰り返されて……結局は、どうやら、回答者、もしくはそれを読んでいた人がだれかが、メーリングリストを飛び越えて、質問者本人にメール――もっといえば、「うざい」など雑言を含んだもの――が送られた結果、メーリングリストから去っていったようだ。


 自分はそれをみていて「あ〜、これ、この回答した人、典型的な初心者飛び越えタイプの人だな〜」と思った。


 自分の説……というわけじゃないけど、世に言う初心者がなく、いきなり中級者になってしまう人がいる。こういう人が、初心者から質問を受けるとき、自分が始めたころを初心者だと思って、それのレベルにあわせて説明をする。すると、初心者はわからないのだが、いきなり中級者になっていた人は、そんなこともわからんのか、ということになる。初心者の初心者の気持ちが良く分からないのだ。

 こういう人は、1を教えると、それに対する感覚がはじめから出来ていて、すっと飲み込める。そして、それに対する常識を持っていたりするから、一気に基本を吸収するのである。そしてこういう人こそコンピュータなど情報処理技術者に向いているんだけれど、だけど基礎が一体化しているから、その基礎を聞かれても、いまいちぴんとこないようだ。そして説明もしにくいようであり、そして取るに足らないことと考えるようだ。
 これが、初級を超えて中級者になった人と、初心者との、薄いけれど丈夫で大きな壁のようなものなきがする。


 また、これと同じことが、プロとアマチュアにもいえる気がする。プロは、プロの中で成長していて、プロの中で常識などを一気に吸収する。しかしユーザーはそんなもんはない。それが決定的な違で、プロは一気に初心者の段階を脱するんだけれど、アマチュアはそんなことはなくて、じっくり一段一段積み上げていくしかない。だけど、その間には決してアマチュアでは知りえない、しかしプロでは常識のようなことを知らずに過ごしてしまうのである。
 これが、プロとセミプロ、薄いけれど丈夫で大きな壁のようなものなきがする。


 メーリングリストの例のような、妙にこじれることはそれほど起きないけれど……。
 しかしセミプロがいままで苦労してやっていたことを、プロがプロの常識的なテクニックであっさりやっちゃったりするともう!セミプロはよろこんじゃって、うは〜すげえ!ってなかんじで感動する。
 そして、プロは、思わぬところで感動されて逆に驚くなり感動するなりするのである。



 そして……こういうプロでは当たり前、だけどそうじゃない人はしらない、という部分を集めた本を作れば……オンラインでは、プロはわざわざ語ろうとしないけれど、アマチュアは調べようがないことをやれば……といいつつ、それが簡単にできたら苦労はしないんだろうけど(^^;)


 だけど最近、こういうことに遭遇して、さらにいろいろ思うのでした。いや、自分の常識、世間の非常識じゃないけれど……。取るに足らないと思えることでも、ちゃんと文書にして共有する。そういうことが出来たときに、いろいろかわるんじゃないかな〜と思う。
 なんとなくこの種の壁って、強化ガラスのようなもので、全体的に叩いてもなかなか壊れないけれど、なにか鋭いものでピンポイントにつくと、簡単に崩壊したりするんじゃないかとおもう。もちろん。壁にたどり着かないと、崩せもできないんだけど。そして、その「なにか鋭いもの」というのは、人それぞれ違っているんだけれど。



 ……などとよくわからないことをぐだぐだ雑感。
 こういう情報をちゃんと共有できるというか、知りたいことを分かりやするには……むずかしいんだよなぁ。そういう簡単な情報って、あんまり知っている人はやりたがらないし。たまにそういうのを馬鹿にするような人もいるし。裾野を広げる努力、みたいな。