高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

アリソン(3)<上> ルトニを車窓から

 ヴィルの元に、一通の手紙が来る。検閲済みのスタンプが押された、スー・ベー・イルからの国際郵便の差出人は、“英雄さん”こと、カー少佐。その中には、融和が進んでいる、連合、連邦をまたにかける、大陸横断鉄道の切符が。 そして、ヴィルのところにきているということは、もちろんアリソン、そして、フィー、将来の女王陛下にも。 彼女たちと合流したヴィルは、ヴィルがいままで見たことの無いような、長大な車列に20人も乗客が乗らない超豪華な列車で、豪華な春休みの旅行に出る。 そして、“英雄さん”と合流し、ついに国境を越える列車。感動するヴィルであったが、しかし、その先の山岳地帯で、事件はおこった……

 「キノの旅」の時雨沢恵一氏の最新巻。そして「アリソン」三部作の最後、上巻です。冒険小説とも違う、個性的手、魅力的なキャラクターが、ある出来事、事件について、動く。どきどき、わくわくする感じです。

 今回は、今までの飛行機、でなくて、列車。そして、ドレスでもその個性を隠しきれなかったアリソンと、華麗に化けたフィオネ、そして、野暮ったく化けたカー・ベネディクト。 そして、そのま〜んまなヴィルの四人で、役二名、特にヴィルなんかかなりおのぼりさんになりつつ、列車の旅、そして、列車での事件です。

 す〜っと流れるように、そして、旅行記のように、かちり、かちりと切り取ったシーンが、豊かに描かれているというか、なんか読んでいるとすごくわくわく、どきどきとしてくる。具体的に書いてあるわけじゃないのに、そのシーンが伝わってくる感じ、再開した二人が、すごくなにげなくて、それでいて、久しぶりに会う二人が、たのしんでいる。そういうすこし色のついた感じ、そして、ところどころにちりばめられた、ちいさな、ちいさなスパイスというか、「あぁ、なるほど」と、にやりとするシーン。すべてが、すごくいい!

 そして、本を開けて、一番最初に来る、衝撃的な「序章a」……。どういう風になるのでしょうか!? どうなるのでしょうか!?

 評価は10中9。以下、下巻! うは〜〜〜!、あるいみ読むんじゃなかったというか、すげー絶妙なところで切れてるし! ぎりぎり分冊になったそうですが、五月発売予定!!!