鷹見一幸『ガンズ・ハート (3) 硝煙の栄光』
先のスタンピートでの戦いのとき、多大な貢献をしたとして、下級士族としては異例の殊勲者となったケリン。それは既存の壁を破り風通しを良くしようとする他に、知の教団に対する政治的な意味を持っていた。 考えることを禁じ、新たなものを生み出すことを禁じ、その知恵のすべてを持つとされる知の教団。
そして、スタンピートに新たな武器とあらたな知恵で立ち向かったケリンたち。そして西域国。
知の教団はついに、西域国に最後通告を出す。西域国の存亡をかけた、知の教団との戦いが始まる……。
そして、スタンピートに新たな武器とあらたな知恵で立ち向かったケリンたち。そして西域国。
知の教団はついに、西域国に最後通告を出す。西域国の存亡をかけた、知の教団との戦いが始まる……。
『時空のクロスロード』『でたまか』の鷹見一幸の最新作。電撃文庫7月の新刊。
前巻までが、スタンピートに伴う一連の戦いで改革の始まりだとすれば、今回からは、知の教団と知をめぐる戦いの始まりです。
そして、相変わらずの鷹見節。考えるもの、知恵を持つものと、保守的な考えと、硬直した考えを持つものとの戦いです。それぞれ、考えるもの、知恵を持つものをケリンたちの側、保守的な考え方、硬直した考え方をもつものを知の教団側としています……絶対懲悪的な物語です。
そして今回は人間対人間になっています。
良くも歩くも絶対懲悪な物語、良くも悪くも「若い」物語なんでしょう。突っ込んでいたらきりが無いというか、もう少しだけ多面的に物語を掘り下げたら、もう少し味がでて面白いだろうな、とも思うんですけど。今までのスタンピートでの戦いののりで、人間対人間の物語をそのまま書いてよかったのだろうかと思います。だって……ねえ。具体的な考えもなしに、一人の人間を平たく物語にしていく……。それが続いていたのにはそれなりに理由があるはずでは、なんて考える自分はあれかな、もうこの本の読者には向いていないのかなぁ、などと考えてみたりして。年取ったのかなぁ。
などと考えるあたり……。どうなんだろう。評価は10中6.5くらい。