高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

神野オキナ『封神機伝 マカリゼイン』

『封神機伝 マカリゼイン』

著/神野オキナ イラスト/田沼雄一郎

発行/朝日ソノラマ ソノラマ文庫

 全長八百メートル、全幅三百五十メートルで、全高が三百メートル。重量は推測で八千億トン……。 後に、「無機物融合型災害特殊大怪獣」略して「融災獣」と呼ばれることになった物体。「我ワ神ナリ。」そう咆哮を上げる。日本に出現したそれは、日米の一年分の使用武器をすべて使い尽くし、戦略核を使い、ようやく沈静化した。しかし……ミサイルによって砕かれ、撒き散らされた破片は生きていた……。
 数年後、それらは活性化し、「融災体」として繰り返し出現するようになる。それらを倒すために作られた組織「マカリゼイン」と、それを封印し、酸化鉄の塊にするもの……それは、そのための能力を持った少年、朱雀ハルカと、室蘭九龍の二人が駆る「我神」と「牙鳴」らによるチーム。
 そしてもはや何にも代え、人々の生命を守る重要な存在になったハルカだったが、そのハルカに、一人の女が近づく……。

 神野オキナの最新刊。ロボットもの。読了であります。


 この話は、ロボットものであります。も〜、著者が「ロボット好きです」というのが伝わってくる感じでありまして、また、それ以上にボーイミーツガールでもあります。
 主人公のハルカと九龍は、ハルカは難民キャンプですごした経験を持ち、武道によって強く優しく、他人を思いやる精神を持った少年で、九龍は、人の上に立つことを前提として来た軍属の厳格な家族に生まれ、そしてマカリゼインに所属する頑なな少女。
 お互いに意識してるのに……なんつーかですね、読んでいくうちにだんだん気付いてくるんですが……とある理由によって(これも神野流?)大体同じぐらいの年頃の男女が、表紙絵の姿でやっているわけで、やっぱり二人ともその意図は知っているんです。だからすごく意識しているはずで……そ〜やってよむとも〜〜〜〜!

 また、未来を見る能力を持つ女性がその二人の間に現れるんですが……。

 以下ネタバレ含む。

 彼女は、マカリゼインとは対極に位置するといってもいい位置にいる組織の人物です。そして、その能力から、最良の行動を取ります。それが……核です。
 劇中時間ではそれほど長い時間、主人公たちと共にいたわけではないのですが……最後のシーンに、ぞくぞくと来ました。出てきたときはあっけっぴろげのお嬢さまの印象だったのに……。自分、彼女が一番好感を持ったかも。能力を持っていても、人間の女性りだという……。

 全体的にそれぞれのポジションが出てきただけで、どれもシャープに彫られていない感じであります。そして、まだ物語りは一つの事件が通り過ぎただけで、まだ完結には遠い感じ。いいキャラ持ってそうなのに、話程度しか出てこない人もいますし、とりあえず続きに期待しつつ。ハルカと九龍は、やっぱり最後は……なんでしょうかねぇ。最後は。さまざまなジャンルを執筆なさっている神野オキナ氏の腕に期待というか、妙なごまかしが無いようにしてほしいというか。


評価は10中7.5。続き熱望! これで終わらせないで〜!