高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

お祭りの日!

 今日は、お祭り。隣の市の市街地で行われる、数年に一度ひらかれる、非常に大きな祭りである。
 結構広い市街地をすべて歩行者天国として、そこに、郡内などの各集落の「郷土芸能保存会」や「獅子舞保存会」が参加し、数体の獅子が踊る。練り歩く。

 1時半ごろ、やっとのことで駐車場に泊まり、市街地へと足を運ぶと、そこは、すでにお祭りモード。最近では、口外に押されだんだん人通りが少なくなってきてしまっている町が、ざわざわとざわつき、そして、たくさんの人手がある。そして、あちこちで半被を着た人が。

 自分が住んでいる地方は、神社ごとに獅子舞がある。それぞれ「XXの獅子」といわれ、黒い体に、大きな獅子頭。二人などで舞う、小さなタイプなものではなく、大体、高さ2メートル、前兆10メートルほどの、半月状に組んだ骨組みの屋台に、黒き幕をかけ、それを獅子の体とし、15キロほどある獅子頭をつけ、そして、若い衆がその中に入り、屋台を動かし、獅子頭を操る獅子となる。
 そして、それを先導する「宇天皇」が、横笛と、小太鼓太鼓の囃子にのり、舞を踊る。

 そのような獅子が、ほぼすべての神社に伝わっている。そのなかで特徴的な、虎を模し、黄土色の縞模様の体をもつ「虎獅子」、ほとんどの獅子が雌獅子であるなか、雄獅子であるとつたえられる「暴れ獅子」、宇天皇ではなく、12歳ほどの少年が獅子を引くものなどもある。

 そして、それの大きな祭りが、このお祭りである。今回は、10を超える団体、9体の獅子が練り歩いた。


 写真は、その中で、その大きな祭りのみに目覚めるとされる「大獅子」と、獅子を引く「宇天皇」である。
 この「大獅子」は、頭だけで30キロ、本体は3メートル近くあり、全長27メートル。そして、この獅子が動くと、他の客も動くという、地元の獅子、いわば祭りの主役の獅子。
 自分も、この獅子をメインで見るために来た。とりあえず時間が無かったので、携帯で、獅子の現在地情報なんかが得られたものだから、そこに向かって一直線に行ったのだけれど、その間3体もの獅子に出会う。

 ざわざわと獅子とともに移動していく人々、鳴り物の乗った屋台。 歩行者天国の街。街のミスタードーナツもお祭りで「10個で1000円!記念品つき」と声を張り上げて売る。

 独特のリズムがあちこちで聞こえる。迷子の案内が町に響く、間違えてマイクONのまま「これ?これを読むの?」と街に流れた、案外おばさんな声。 獅子の後ろで、スピーカーを頭に載せて走る車に、カーテンの隙間から見えた、面をつけていない、宇天皇を宿す前の人。

 人。人。人。


 大きな頭を下ろし、眠る獅子につながれた紐を持つ宇天皇が、その紐を、波立たせると、獅子は、はじめふらふらと、そして、宇天皇の姿を認めると、不機嫌そうに左右に首を振り、暴れ始める。うてんの右派それを操るように縄を操り、獅子を操る。

 獅子は、宇天皇におびえるようにその身を引くが、やがてその怒りを身に宿し、激しい勢いで宇天皇に迫るが、宇天皇はそれを抑え、鎮める。

 やがて獅子は、その身を沈め、眠りにつくのだ。


 獅子たちは、「所望」と呼ばれるように、その町内に呼ばれ、そこで祝儀をもらい、そしてそこで舞う。赤ん坊が生まれた、新たに家を建てた、新しい商売を始めた、という家には、その頭を家の中にまで踊りこむ。

 人に飲まれつつ、その勇壮な姿を拝むことができた。また、次に見れるのは……数年後。