高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

作家などプロのクリエイターの公式Webサイトに求めるもの。

 最近自分が非常に大好きな作家氏が公式Webを開き、最近の流行、といってはなんだが、blogのASPサービスを使ったblogを立ち上げていらっしゃる。
 それとは対照的なのが、しばらく放置されたまま、掲示板はご活発。だけれど常連の方々が多く排他的な雰囲気がありファンとの交流という感はないという、プロのクリエイターのサイト。

 別にどちらもその個別の部分を指すわけではないが、個人的にぼんやり考える。作家氏やプロのクリエイターのサイトに、自分が求めるもの。最低限のもの。


 ぼんやりと考えると書いたが、実際考えるとそれは非常に明確で、ずばりひとつ。


 情報である。


 いわば、新刊情報、新作情報である。広告? その通り。広く告知して欲しいのだ。ファンにしてみれば、これが非常に欲しい。

 活躍の範囲が特定の出版社、特定のレーベルに集中なさっている方ならば、ある程度そういうものがなくても十分に作品の発表を逃すことなく、それを追い、その作品に触れることが可能だ。が、出版社を超えた場合、そこでインフォメーションを出すことなど、非常に少ない。わずかに例外があるだけだ。

 そうなってくると、やっぱり一番いいのはクリエイター後本人がご自身のサイトで情報を出してくれることだ。それが一番確実。贅沢を言えば今までの発表作のリストなどがあれば非常にうれしいと思うが、まぁそれは膨大になってしまう場合などは別だが。
 もちろんファンサイトが存在し、そこが新刊情報などを出してくださっていれば、それを利用させていただくのも良い。しかし……最近眺めてみると、以外とないのだ。そしてあるような方の場合は、出ればたくさんの人がblogなり何なりでそれぞれ話をし話題になるのであんまり実は必要性が高くないことが多い。

 一番の問題は、作品は非常によいのだが、まだ機が熟していないクリエイターの方である。これがすっごくこまる。だから、ご本人が出してくれると、ファンも非常にうれしかったりするのだ。というか自分はそうしてくれるのが一番ありがたい。ファンサービスとして、一番ファンがうれしいんじゃないかと思うのだけれど、どうだろうか。

 地味だけれど「え〜! 出てたの?」といったあの時。新作があるんだと知ったときのうれしさとともになんとも出てくる、損をしたような気分がなんともいえなく微妙である。

 よく考えてほしい。新作の情報を知ったときのプロセスを。

  1. 新作の情報を知る!
  2. 楽しみに待つ
  3. お店にいって予約してくる
  4. わくわくと待つ
  5. 近くになって封筒に「○○代金!」と書いてお金を入れておくとかしてうきうき待つ
  6. 当日近くになってなんかそわそわする。当日じゃないと出ないとしりつつなんとなく三日前ぐらいから毎日お店にいったりして
  7. 手に入れる。周りに不気味がられるくらいの勢いで自室に閉じこもり、カギをかけてカーテンをしめて、心の準備をしてから正座する。
  8. 堪能する。

 これが、すでに出ているという場合はこうなる。

  1. なんとなく暇なのでお店に行く。 ……視界の端になにか移ったような……新作だ!
  2. わーい、と手に入れる。もうなにもかも投げ出して喜びのオーラを出し続け、周りの人がちょっと道をゆずるぐらの勢いで入手。
  3. 堪能する。

 ほら! こんなにたのしみのプロセスが減ってる!…………コラ!!!水増しとか言うな!!!! 事実こうなんだもん。ほらあなたは経験ありませんか? にやにやと予約票、もしくは予約注文完了した画面を見るということが。

 最悪、雑誌などの場合、ネットで知ったときはすでに手遅れ入手不可なんて悲劇も起きる。これはもうすごく悲劇である。超悲劇である。経験者が言うのだから間違いない。あれは悔しい。


 あとは、話題的な効果もある。たとえば新刊情報などといってだーっと出てくる情報があるが、あれらはまとまった形でだーっと出るから話題として少ない。だから、速報が出るちょっと、それもほんの一週間程度でもよい、それぐらいの早いころに「○○の続編が○○月ごろでます」とぼそっとインフォメーションをトップページに載せるなどするほうが、話題になる。
 別にそのときだけ更新しても良い。それでもいまははてなアンテナやi-knowのように特別な知識がなくてもアンテナを持てる時代であり、また各種更新チェッカーもいまだ使用者は多い。十分に察知できる。
 そして、blog時代になって、口コミの効果もある程度であるようになってきている。それで話題になれば、「最近よく聞くあの人の著作を買ってみよう」と思う人も多いはずだ。


 だがこういう話をすると必ずあるのが「ネットでの反応などたいしたことはない」という話である。が、費用対効果でみてみるとどうだろうか?
 一ページトップページがあり、そこにインフォメーション欄がある。そして作品リストは単純に、名前と発売会社名と日付があればよいので、最低二ページ程度でよい。プロフィールもあればよいが必須ではない。
 そんなページの一ページ目を、新作が出るたびにちょっと更新する。たったこれだけ。いまどきクリエイターのかたがたは大抵ネットの環境を整備なさっているだろう。そして、一般的なプロバイダならば普通にサイトのスペースを使えるようになっている。大手ならば、無料で使える簡単作成ツールなどが必ずあるはずだ。これをつかえば、数時間さくさくやるだけですぐにできる。画像などは配置する必要はない。変につけるとかえってみっともなくなるので、普通にテキストだけでもよい。感性にまかせて作ればよい。

 それだけの手間で、ひとつでも手にとる人が増えればよいのではないだろうか? 費用対効果として非常に十分な効果であろうと思う。プロバイダのスペースなど放置しておいてもなんの得もない。また、追加の出費もない。もしコンテンツが欲しければ、ブログサービスでも借りて(その際ははてなをお勧めする。理由は簡単。ほかに便利なツールが漏れなく付いてくるから)ページをつくればよいのだ。気が向いたとき、一ヶ月に一度でもいい、更新すればいい。コメントやトラックバックは管理する手間がなければ切ってしまったっていい。うちわ話で排他的な雰囲気になるよりかなり良い。そういう仲間内のサイトがほしければ、この技術を応用して別に作ったって良いのだし。


 もしその気があるなら、はじめからブログツールを使うという手もある。はてなも、古い認識だと「非常にいろいろできるが玄人向き」といわれたが、今は簡単デザイン設定をはじめとする非常に簡単な方法で設定できちんとしたブログが出来上がるのだ。アンテナモジュールブログペットモジュール、なんてのを組み合わせれば簡単だし、メッセージ入力で新刊情報を、日記で扱うとともにつけて、自書のリストははてなブックマークでさくさくっと作ればよい。公人としてではなく、個人としてやりたい場合は、今はサブアカウントを持つことができ、それらは自ら公表しなければ秘密にされたままになる。

 よく作家の方で「いつも机に向かっているから書くことがない」「くだらないことしかかけない」という方がいる。それは間違っているとずばり言おう。日々クリエイティブなことを行っている方ならば、日々何か感じたことがあるはずだ。別に「納豆は朝食べるより夜食べたほうが体にいいらしい」と一言書くだけでもいい。妙に心にのこったテレビや新聞のフレーズを書くだけでもいい。


 往々にしてクリエイターの側の人間は、ファンがクリエイターの情報をいかに渇望しているか、ということに鈍感らしい。簡単にサイトが持てる今だからこそ、ちょっとやってみませんか。


 ただ…………サイトのほうにハマって、本業のほうがおろそかになられては大変こまるわけですが(ぉぃ