羽田奈緒子『世界最大のこびと』
ある日一弥は、最近妹の小百合の様子がおかしく……そして妹の部屋から変な話し声がするのに気付いた。まえからちょっと不思議な子であはったけれど、さすがに心配して小百合の部屋に突入すると……そこにはちいさな人形が……そしてその人形は一弥にむかって盛大にくしゃみをした!?
そしてその小人は、パウエルと名乗る。彼女は「世界最大のこびと」として……迷子になっているらしい。妙に楽天的でのんき者のパウエルが「巨人の国」で会うようにと言われていたサトリと呼ばれる人を探すことになるが……
そしてその小人は、パウエルと名乗る。彼女は「世界最大のこびと」として……迷子になっているらしい。妙に楽天的でのんき者のパウエルが「巨人の国」で会うようにと言われていたサトリと呼ばれる人を探すことになるが……
第〇回MF文庫Jライトノベル新人賞 佳作入選作品、ほんわかな気楽なファンタジー。MF文庫J8月新刊。
内容は一人ののんき屋のこびとと、ちょっとふしぎなところがある妹、そして近所に住む不思議なお姉さんなどが繰り広げる、こびとと「世界最大のこびと」をめぐる物語、というところでありまして、そしてほんわかなんだけど、かなりぐぐぐっとストーリーが動いていきます。
なんというか一見ほのぼのだけで終わってしまいそうなところが、そこは公募応募作品でありまして、きっちり完結してぐんぐんストーリーが進んでいく感じ。
そしてなんといっても雰囲気が、そして巨人……というか人間の一弥視点と、こびとの視点がさくさく切り替わっていく感覚がなんともこう、独特の雰囲気をつくりだしてまして、なんかファンタジーであります。だけどメルヘンというような方向までは行かない、独特のかんじであります。
そしてキャラクターたちの関係も魅力であります。特に高校生で17歳の一弥と、その妹11歳の小百合という、六歳離れた兄妹。そしてその母親もなかなか良いキャラしてまして。またこびと側のアテナと言う少女もお気に入り。
以下ネタバレ含む。
やっぱり、雰囲気で読む、ちょっときもちをゆるめて気楽によむ小説であります。イラストは、あれこの絵柄……と思ったらデュアンサークの戸部淑氏だそうでります。
評価は10中8。こういう雰囲気を出す作家氏というのは好きでありまして、とりあえず作家買いに対象に。注目!