高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

上山徹郎『隻眼獣ミツヨシ(2)』

『隻眼獣ミツヨシ(2)』

著/上山徹郎

発行/メディアワークス 電撃コミックス

 江土城にて、御奉納の義がせまる……。奉納を執り行う姫、祠千代はそのための稽古二余年が無く、そして胸冬は、その警備を整えるために動いていた。
 そしてミツヨシも……。しかし、ミツヨシは、それによって防げるとは思ってはいなかった。そしてそれは当たることになる……

 『電人ファウスト』『ランポ』の上山徹郎最新シリーズ、最新刊。8月発売電撃コミックス新刊。

 日本であり、しかし日本では無い。江土とよばれ、そして忍が生きる、剣士が生きる世界を舞台に、一人の姫と、一人のはぐれ女剣士を中心とした物語。そして、主人公は女剣士でありまして、主要登場人物たちはみんな女性。じゃあ、なんか甘い展開になるのかと言うと、そうではなく、本格的なアクション漫画でありまして、硬派です。すごく硬派。そして独特の……奇才というにふさわしい上山徹郎氏の漫画であります。

 そして今回は……ついに江土城を舞台にした戦いが始まります。胸冬たち、祠千代の師範たちも、実践で戦うことになります。そして隻眼を自ら封じたその父親も……。


 自分は、コロコロコミック時代から上山徹郎氏のファンであります。氏の本で、現在入手可能な本はすべて800円以上する、A5版なのですが、しかし、それでも確実にファンが買う。そういう本です。

 また、絵は、非常に動きがある絵です。戦いのシーンの一部、一番動いている決定的瞬間を、ぱちり、とそのまま切り出したような、時を抜いたような絵で……コマとコマが、激しい戦いのシーンにもかかわらずきっちりとつながっていて、すごく読んでいて映画のようにぱーっと動く。飛沫、波動、それらに特徴があります。
 会話のシーン一つでも、止まっていて、キャラクターがカメラ目線と言うか、そういう目線はなく、いつも動いている感じです。
 また、出てくる女性はすごくむっちり……なんか唇なんかすごく魅惑的という不思議なかんじでありまして……ふとももが!
 そしてそれが動く!戦う!


 すべてがすごく濃いです。絵も美しい。だけどそのすごく強い個性で、結構好みが分かれるかもしれません。そのせいかどうかは……あれなんですが、戦っているときにぱんちらとか、そのサービスカット的なものが含まれています。が、それがすげえ生々しい。正装のまま戦えばそりゃあぱんちらにもなりますっていうか、あそこまで緊迫している中で、あえてそれを出すと言うのが、すごく生々しい。(といいつつ……もしこれがその本気でサービスカットのためだけにあるのなら……個人的には無くてもいいかな(^^;)という気もしなくもないかも(汗))

評価は10中8。『蟲忍』『ブラックロッド』など古橋秀之作品のダークな部分の雰囲気が好きな方は、気に入っていただけるかも!