高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

森薫『エマ (1)〜(4)』

 『エマ』(bookグループキーワード:エマ
著/森薫(漫画)
発行/エンターブレイン ビームコミックス

(高森太郎書店では『最近読んだ本』のコーナーに。)

 産業革命後のイギリス。社会は変わりつつあったが、まだ身分制度が色濃く残る時代。 商家の跡継ぎ、ウイリアムは、父に言われ、かつての教師であった女性の下に会いに行く。 そこで、一人のメイドと出会う。 その美しい女性はエマ、黒と白を基調としたメイドの服に身を包んだ彼女は、恩師の下で働くメイドであった。 そして二人の距離は縮まっていくが、しかし身分と言う壁が二人に牙を向く――。

 メイドと、商家に生まれた青年との身分を越えた恋……。時代の変わり目にいるメイドさん

 うは〜! とごろごろしながら読みました。正統派の、本物のメイドを本気で描いてあり、そしてそこから、恋……へと発展していく。時代は産業革命後のイギリス。イギリスは「世界の工場」として発展していく直前の時代でしょうか。まだ手工業だった時代でしょう。
 そのようなノスタルジーな世界を丁寧に描き、そして正面からメイドさんを描いているのです。あれですよいわゆる「萌える」系のデフォルメメイドさんじゃなくて、正統派メイドさん

 また、その時代を、じっくりと時間をかけて描いているのもすばらしい。むやみにシーンを圧縮しようとしない、また、なんかその時代に浸れる感じだ。そして、その時代を感じながら読めると言うか……ちょっと思いをはせてみたりする。もっというと、ちょっとこの時代に興味を持ってみたり。このころってあれだよな……きっと、映像の20世紀とかで、世界で一番初めの動画フィルムとして公開された「工場の風景」でしたっけ、アレみたいな感じなんだろうなと思う。


 さらにサブキャラクターたちもなんか、よくいうひとにが言えば「そこにいる必然性がない」とか言い出すんだろうけれど、しかし別にストーリーに絡んでも無くたっていい、そんなサブキャラクターたちがたくさんいて、それがすごくいい味を出している。

 以下ネタバレ含む

 そして……エマさんもですが……エレノアも……。きっと最後には彼女は……なんでしょうけど、なんかそれを思うと……くらいの純粋な少女です。
 また、二人は離れてしまうのですが、その間の二人……なんかこっちまで苦しくなるような感じです。
 そして……四巻の最後、出会ったとき、P172からの彼女が……。

評価は10中8.5。副読本もどうにかして手に入れる予定。


 それからあんまり関係ないかもしれませんが……なんとなくエマさんを見ると……ヨコハマ買い出し紀行のアルファさんを思い浮かべるのは何でだろう。あんまり関係ないのに。似てもいないし……。