高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

新築のお祓い。

 今日は、朝8時より、神主様においでいただき、新居お祓いの儀を行った。

 朝、7時20分ごろに、母に起こされ、のろのろと起床。って、目覚まし時計セットしたはずなのに鳴って無いし……。あ、時間はセットしたけど、スイッチ入れて無いや、とか気付く。そして、ぼんやり。頭が重いというか、よーするに眠気が体の中でごろごろしていて、ぐたーっと体が後ろに、布団に倒れそうになるのを、支えて、じーっとしつつ、眠気が去るのを待つ。

 そして、のろのとろ寝間着から、ズボンにトレーナーをまとうが、なんとなく、その時点で家の中に漂う雰囲気、特に、父と母の動きがいつもと違うことに気付く。準備をしているのだ。

 父は、我が家に伝わる……というほど長くは無いらしいのだが、たくさんの神様の名前を記した掛け軸を用意したり、それから、供物などをダンボールに入れて、運んだりしている。

 自分は、着替えた後もしばしぼ〜っとして、しかしそーもあれだよなぁ、と顔を洗って、充電してあったデジカメの電池を装填して、メモリーカードの残量を確認して、そして、我が家の横の小道を通って、新しい家に向かう。

 朝、新しい家を見るのは、もしかしたら始めてかも、とか思う。ぼんやりと、朝の空気の中。しとしとと雨が降る中、でっかいかさをさして、ちょっとだけ新しい家を見上げた後、今は玄関が閉められているので、勝手口から家の中に入る。


 そして、しばし準備。

 準備するものは、指定されたように供物、「いわし(時期的に丸干し)」「みかん」「御洗米」「根と葉っぱがついた、抜いたばかりのにんじん」「塩」そして「お神酒(地元の地酒)一升瓶」、さらに注連縄(しめなわ)を用意する。また、その後に、お茶と、お神酒を少しいただくようにするために、ポットに入ったお茶、お重に刺身、小さなえびをてんぷらにしたもの、などが入ったものを用意する。

 準備している途中に姉貴が起きてきて、そして、さらにしばらくして、神主様がやってくる。慶事ということで、羽織袴。大柄でどっしりとした方で、普段は肥料屋さんをやっているが、こうして呼ばれた際にはやってきて、お祓いをしていただく。今年はお祭りが重なる年で、なかなか忙しいらしいのだが、その間を縫ってきていただいた。

 そして、並べる。

 並べる場所は、お座敷の床であり、並べていく。並べる順序は、神様の御名が記された掛け軸がかけられ、左に、地方の有力神社。真ん中に伊勢神宮、左に自分の地元の土地の神様の神社という順番に並べる。この順番が重要で、神棚などでもこのような順番でおくそうだ。が、今回は、伊勢神宮と地元の土地の神様の神社の御札は今回間に合わなかったので、玉串をつくり、それに宿っていただくことに。
 その前に、お供え物。神主様の指示に従い、左から、みかん、いわし、御洗米、にんじん、お菓子、また、御洗米のおく、御札とお供え物の前のあたりに、一升瓶のお神酒を置く。で、このとき神主様より指摘が。

 慶事の場合は、この供物の下に引く神が、右を前になるようにするのだそうだ。正方形をずらすように三角に折るが、そのとき、右上に角が行くようにする。弔辞の場合は、逆。
 また、神様のことなので、すべての者は奇数にするというのは常識だそうだ。というわけで、みかんは五つ、いわしは五匹、にんじんご本にお菓子(最中)は七匹。

 そして、注連縄に、神主様にお持ちいただいた紙垂(しで)という、良くある注連縄にさがっている、わしを互い違いに切って折ったものをつける。また、一番初めから釘などを打つのはアレなので、神主様は、鴨居に割り箸を立てて、そこにつければよい、ということでそうした。


 そして、注連縄の前に神主様が座り、置くから年齢順、父、母、姉、自分、という風に座り、そして、神主様の「これより、XX家、新築御祓いの儀をはじめましていただきます」という言葉で始まる。

 神主様は、玉串と同じ木のものをふるい、きよめるようにして、御祓いに入る。
 そして、神様においでいただき、祝詞を唱えていただく。
 そして、家の四方、東南から時計回りに、家の角に、色のついた麻布、紙、塩、などがまざったものを巻いて、清める。一階が済んだ後、玄関と、階段を清めて、さらに二階にも、同じように東南から右回りに清める。

 その後、再び払ったの後、神主様が玉串をささげ、そして、父、母、そして、姉貴と自分の兄弟が一度に行い、その後、さらに神主様がナニゴトか唱え、そして、「以上で、XX家。新築御祓いの儀を終わります」と言う言葉で終わる。


 儀は、基本的に15分程度で終わった。その間、礼をすべきところは神主様が「ここでみなさま礼をお願いします」とおっしゃってくれるので、基本的にこちらはそのまんま参加して、指示に従っていればよい。また、玉串を捧ぐ時に、「二礼二拍手一礼」を覚えておく、というか、親のしぐさを見ていれば良いのだが。

 そして、終わった後に、みなで少々、お神酒をいただく。といっても、朝であるし、神主様は来るまできているので、口をつける程度であるが。そして、お魚をいただき、お茶をいただき、少々話をする。


 その際、神主様より興味深いお話をお聞きする。

 家を建てるなら、今が一番いい時期ですよ、というのだ。
「私もこうして呼んでいただいて御祓いをさせていただいているんですが、バブルの頃はすごかったですよ――そうです、消費税の駆け込みの頃。 あの頃は家を建てるというのでたくさんの人が立てたんですけどね、それはもう、急ぐもんですから、こういう塗り壁のところで塗りの残しがあったりしてね。――そう、隙間が開いていたりするんですよ。 その点、いまはいいですよ、たくさんの工務店さんを比較してね、高い買い物ですから、じっくりと話を詰めて建てますし、もう、ほかのところで、といえばもう大変ですから、みなさんよくお話を聞いて作りますから」

「最近はリフォームなさるところにも行くのですけどね、最近はここら辺で、下水道が通ったこともあって、お風呂とお手洗いの改装をする方が多いのですが、それぐらいやると簡単に一千万と言ってしまうようですね。そして、一箇所だけ改装しても、結局他のところが古くなってだめになってきてしまう。だから他のところも直すのですが、それでまた、八百万、一千万とお金がかかってしまう。――そうです、それだけのお金があったらいっそ立て替えてしまったほうがいいというわけですね。 いや、私の家の周りもみんな新しくなっていくんですよ。リフォームとか、新築とか……いやぁあ、私もそろそろですかとおもっているんですがね〜」


 そうしてから、神主様は、大体、なれた感じで、失礼にならないくらい手早くお茶を飲むと、お帰りになった。そして、その後、片づけを行う。 まだ、ご飯を食べていないので、とりあえず、今の家に帰って朝食を取ることに。そして、こちらを引き上げるが、雨が降っていることもあり、座布団、台などはこのままこちらにおいておくことにした。 空っぽの家に、日常の物が置かれる。



 最近では、こういう新築御祓いどころか、上棟式すら行わないところも多いらしい。工事の安全を祈願するという意味もある地鎮祭は業者のてによって行われるが、これも、分譲住宅の場合、一度にまとめて実施したりして、おせし、つまり、注文した人がこういうところに参列することも無いのだと。

 しかし、これをやった後、なんとなく、気負いのようなものが消えて、新しい家が、新たな自分の家に鳴るんだ、という、実感が生まれてきた。いい、区切りになったように思う。こういうのは、やっぱり神妙な気分になるし、区切りのためにやるのだと、そういう儀式なのだと実感する。

 それに、これに神様へおねがいもしたし、ご承知いただいたので、良い。
 また、祖母が嫁入りに来たときよりずーっとあるという神棚も、新しい家での場所を神主様にお願いして決めていただき(南向き、そして、下に人があんまり出入りしない場所が良いとのことだった)、今の家に居てくださる神様も、新しい家に移っていただけるのではないか、と考える。

 そして、さらに、新居に移転することは続く。生活の拠点が移る日も近い。



 しかし……基本情報技術者とかぶってしまったのは……なんとも大変であるが、しかし、がんばらなければ。大工さんからの引渡しも近い。来週、大工さんがさらに、例の屋根裏の物置、さらに、車を置くひさしをつけていただくために、そして、最終的な手直しのためにきて、それが終わるとおそらく引渡しだろうと思う。
 また、我が家の裏の道路のブロックを積んでいる工事もかなり進んでいて(今日、神事を執り行っている間にも、ブロックを着るカッターの音が「き〜ん」としていたりして……(汗 )、そして、新築祝いも近い。