高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

ハイブリッド学園 悪魔的な彼女

ハイブリッド学園 悪魔的な彼女
著・織田兄第(リンク先は弟織田彰氏)イラスト・煉瓦
発行:メディアファクトリー MF文庫J
ISBN4-8401-0887-0

 最近MF文庫Jで良い作品があるような気がするのと、著者の織田兄第氏の前の作品、感応者SAKI(ISBN:4840106894)(高森太郎書店ではこちら)がキャッチーなタイトルはともかく、そこそこ良かったので、ちょうど新刊に飢えていた時期、本屋で見かけ、買ってみた。

転校を繰り返していた小野寺正輝は、今度、私立の、轟学園へと入学する。が、その学校は、妙な学校だった。上の学年にしたがって生徒の人数が激減する、奇妙な校内放送が流れる。 それは、この学校は、日夜、悪と戦う学園だからだったのだ!
 しかし、それ以外の見た目は普通の学園で、やっと友達もできなれてきた頃、クラスにまた転校生がやってくる。その少女は、転校早々、正輝の前で「付きまとうしかないか」などというのだった!

 タイトルは某韓国映画のパクリっぽく、某高い畑で京都の一郎さんの某作品のコンセプトに似ている気がしなくも無い作品。「悪魔的な彼女」と言うのは、別に、小悪魔的、とよく言われるかわいい女の子、とかそういうものではまったく無く、そのほかの理由からであるので、あんまりキャラクター萌えとかそういうものには期待しないほうが良い。
 また、お世辞にならうまいと言える、程度の文章なので、それほど卓越しているわけではない。また、イラストは、顔のどアップ、肩から上だけなど、特に文中のイラストで手抜きな感が漂っている。
 以下、ネタバレ含む。


 悪魔的な彼女、が、そのまんま、地上から見ると地獄とも思えるばしょから来るから悪魔的、というのは正直ないだろうと思う。さらに、その敵の世界に乗り込んでいく過程がまったく無く、いったいどういう関係なのか見えてこない。さらに、実際には同でもいいところに設定を絡ませているので、理解するのがむずかしい。描写や説明を省きたいならば、なるべく工夫すべきだと思う。
 さらに、次回への引きが多すぎる。著者は「次巻ももう書いている」などとあとがきでのたまっているが、プロならば、一巻だけで、読める作品を作れ、と言いたい。
 だが、虫の設定は良かった。
 レベル的には、ネットでアマチュアが公開している作品のレベルといえる。ここまでけなしてしまったのだから書いてしまうが、事実の羅列という小説の形態をとりながら、これは無いだろう、という表現が随所に見受けられる。そこらへんを考えて書け。自分の世界を読者に押し付けすぎ。かと思えば、著者の頭の中では既に出来上がった世界なのであろう、描写がまったく抜けている場所がある。

 評価は10中3。作家の名前で避ける。また、このレベルではeS!booksには乗せられない。
 また、MF文庫Jの評価もちょっと下がった。まぁ、それでも「作品ごとに依存する」と言う評価にもどったので、MF文庫Jに関しては、それほど下がったわけじゃないけれど。
 というか編集氏は腕よすぎ。タイトルとあの帯のあおり文句だと、思わず買ってしまう人も多いぞ。