能動的、受動的、必然的、趣味的……ご都合展開あれこれ雑感。
最近、某書籍を読んでいて、読み始めて気が付いた。あー。これは自分合わない。久々である。ここ一年ぐらいなかったのだが、久々であるこの感覚。ちなみにこの本は、某方のサイトでお勧めされていたもので、ちょっとした話題にもなったし、人気のない本と言うわけではないが、これは純粋に合わなかったのである。
その理由をちょっと考えてみた。そこで思い立ったのが、ご都合主義な展開についてである。ご都合主義的な展開にも種類があって、自分はその中でも、受動的でかつ、必然的なご都合主義な展開はだめだ、と言うことである。
などといってもなんだかわからんわなぁ、と思う。というわけで、なんとなくぼんやりとした考えを、文章にしてみる。
■ ご都合主義とは
ご都合主義とは、といって、はてなのキーワードを見ると
物語の展開につまると安易に設定を変更したり、突然新しい設定を持ち出したりし、またはあるべきはずの障害を完全に無視して物語を進行させるような作劇法を批判する表現。
だ、そうでありますが、個人的にはそうではなく、作者によって都合がいいように作られたものまたは、人によってはキャラクターの都合のいいような展開ってな感じであります。
よって、個人的にはこれはそれほど悪くはないというよりむしろ結構肯定的にとらえていたりしますなんというか、検索してみてやっぱりネガティブな感じで使われていると言うのが当たり前なのだと言うのをなんとなく思って、あーそうなんだーとか思ったですよ。
ともかく。そんな感じで、ご都合主義から、物語の構造を考えてみる雑感であります。
■ 能動的ご都合主義
能動的ご都合主義な展開とは、自分が考えるに、主人公または登場人物がいろいろと動いたはてに、突然起こる、まぁ、いわば奇跡といえるような展開であります。
さまざまなことが発生して、それを主人公や登場人物たちがさまざま行動した挙句、どうしようもならなくて四面楚歌な状況で、突然、救世主とか、状況が大きく変わる、見たいなものであります。
主人公や登場人物の行動が、直接それにつながることはなくても、その主人公たちの行動が、それをひきつけた、と思える……でもよく考えるとあきらかにご都合展開だよなーとか思えても、このように、その前に何かあると、自然に受け入れられるような、そういうものである。
■ 受動的ご都合主義
受動的ご都合主義な展開とは、自分が考えるに、主人公または登場人物が、突然、しかしある日ではなく、すごいタイミングでおこるご都合主義的な展開であります。
たとえば、主人公が一番最初、物語の中心となる出来事、舞台に足を踏み入れた直後、タイミングよく発生した出来事が、登場人物の性格を映し出すのによいといった展開であります。
物語をうまく加速させたりするにはよく使われる手法であり、実社会でもたしかに普段とは違うことが発生して、それによってキャラクターがわかる、といったものである。
■ 趣味的なご都合主義
趣味的ご都合主義な展開とは、特にストーリー上で必ずしも必要でないにもかかわらず、突然挿入されるご都合主義な展開であります。
たとえば、ストーリーのなかでスパイス的に、展開をあきさせないため、または完全に作家の趣味で(ぉ 作られるものであります。
といえば、物語の大半がそうだろう、と思えますが、散々それにきたあげく、よく考えるとまったく物語りにかなわないけど……みたいなものでありますな。
たった一言出てきただけの言葉、だけど妙に残ったり、とか言う感じでありまして。
■ 必然的なご都合主義
必然的なご都合主義な展開とは、ストーリー上で必ず必要なのだけれど、それがただ「ある」とするにはやっぱりいろいろすっとばして「あるんだからあるんだ!」として設定してやらないといけない、つまり、ストーリーの都合上必要なものであります。
たとえば、むちゃくちゃな設定(たとえば「単車はしゃべるものである」とか「この地方の言語は宇宙人と翻訳機なしで通じる」とか)だけれど、それがなければ物語上必要なもので、そして、登場人物がそのことに対して疑問を持たない、みたいなものであります。
これは物語の要求上あって、これがなければはっきりいってつまらないので、必ず何らかの形で必要になるものでありますな。
■ 自分の好きなご都合主義と雑感
で、ご都合主義であります。
結構つぼというか、あたまをからっぽにして楽しんだりするのが、必然的なご都合主義と、趣味的ご都合主義が重なったものだったりするのは、まぁあれでありますが。
さらに、多いのが必然的なご都合主義と、能動的なご都合主義。ただし、これで必然的なご都合主義の分量が増えすぎると、だめだけれど、こういうのは、こうしっかりと心を正座させて、いっきに読む、見たいな本に多いです。
さらに、受動的なご都合主義と、必然的なご都合主義が重なると、異世界にいっちゃったとかそういう巻き込まれ系な物語みたいなことになるような感じであります。これは、寝る前にちょっと読むつもりで読んだら、あっという間に全部読んじゃった。やばい、時間かなりたっちゃったか、といって時計をみると、案外時間がたってなかった、みたいな本(どんな?) が多いような気がする。
その他、能動的なご都合主義と、趣味的なご都合主義をあわせると、メイドさんが何がし、みたいな感じになります。あーたのしかった、と最後まで読んで、夢の中にまで物語をもちこんでいい夢を見た挙句、通勤通学途中でぼんやりしているときに「そーいえば、あれってメイドさんである必要あったっけ?」みたいな感じになりますな。エンターテイメントみたいな。
受動的なご都合主義な展開と、趣味的なご都合主義をあわせると、おしかけみたいなものになりましょう。ある日美少女がおしかけてきて、みたいな展開でありますな。そして、趣味的に発生したご都合主義だけで、物語一本できちゃうぞーみたいな。
そして……先にも書いたのですが、自分はこのなかで「受動的ご都合主義」でありなおかつ「必然的なご都合主義」が重なったもが、自分に合わない確率が高いです。
どういうことかというと、ストーリー上で、たとえば主人公がたまたま来たときにたまたま現れた先輩がたまたまトラブルに遭遇したまたま柄にもなく食って掛かった主人公をたまたまいさめるヒロイン。みたいな、これがないとストーリーが進まないご都合を主人公にふりかかるかたちで受動的にやったようなものは、やっぱり苦手だったりします。
なんというか、こういう場合、世界観に入りきる前に……前提条件として特定の知識をもとめて、それがなかったりしてわからないと、すっかり置いてけぼりをくってだめだったりします。
こんなんを考えると、あんまりもちろんそれだけの単純なものではないのですが、なんとなく頭の中で思考実験みたいに考えてみると、たしかにこれの四つの組合せでいろいろなライトノベルを中心にした物語の構造を説明できるような気がする(あくまでも気がするだけですが(大汗))わけですよ。
まぁ、ともかく。
え? なんでご都合主義なんて言葉をだしてきたんだ貴様と? 普通に「受動的展開」「能動的展開」「趣味的設定」「必然的設定」とかいってそれだけですむじゃないかと?
いや、それはその……。 まぁ、いいじゃないですか。といいつつ、展開、行動、設定、なんかを全部ひとつひっくるめて「ご都合主義」なんていうのは、ちょっぴりいいんじゃなかろうか、なんて思いついたわけでありましていろいろ。
まぁ、ぐだぐだと考えを回らせる夜。