高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

川崎康宏『Alice(1)』

『Alice(1)』

著/川崎康宏 イラスト/エナミカツミ

発行/メディアワークス 電撃文庫

 狂犬アリス、アリス・ザ・ファイヤーボール。 そう恐れられ、母の胎内に投与された薬によりメビウスチルドレンと呼ばれる特殊体質を持った少女、アリス。 かつては荒れていたこともあったけれど、実は大学を目指し勉強する案外普通の女子高生である。 ただちょっと、BMWのバイクを駆り、全身エナメル、スパイクを仕込んだボディスーツを着てたりするけれど。
 ある日、バイト先の探偵事務所の仕事で、探索依頼された猫をつれて依頼人の家に行くが、そこでいきなり物騒な連中に襲われ、多少死人がでるけれど撃退する。 しかし、実はその猫は……

 帯より『強可愛 強くて可愛い。彼女はそんな女の子です』そんな彼女が主人公の、なんともシュールな感じの小説であります。新シリーズ。電撃文庫10月新刊。

 世界観はなんかやな感じに変化した日本。政府が小さくなり、治安が悪くなり、大企業が自社の利益のために今より大きな権力と権利を持つようになった近未来。そこでなぜか熊の経営する探偵事務所で、強い女の子が戦うと言うか、巻き込まれて、なんのためって主に金のためにいろいろ戦うのです。

 そして出てくるやつはみんな少々ピントがずれているのがなんとも不思議な感覚で、シュールって言うのじゃないんだけど、なんとも不思議な感覚なのです。というか変!

 とりあえず熊。変。あと出てくるやつら微妙に変。なのに妙な説得力があって読むんだけれど、だけど読んでくるところでたまに思い出したように『変』が飛び出してくる感じであります。これがなんともいいかんじでありまして。その変!が面白い!

 そのかかわってくる社長のその会話がなんとも妙な味があって好きであります。P29の「なんというか小端博士の好みじゃないな」のくだりなんか、なんどもみてもなんかすげえ味がありまして。なんというか声に出して読むと妙に可笑しくって。また、若くはないが若作りだ、とかそのあたりも。
 後、「飼い主も食べません」とかなんかすごく。さらに、日本かぶれの熊とUSA!の戦いがなんとも、というか「両方違う!」と叫びたくなるという。なんとも味わいが。
 そして、やっぱりAliceは……けっこういい娘じゃないか! というかその、いろいろな過去と言うかそういうあたりにちょっといろいろなんか。 萌え〜。

 なんというか、著者の独特の文章がいいかんじであります。どいつもこいつも非常にまじめ、いたってまじめ。だけどそれがなんとも可笑しくて、悲しくて。シュールでにやりとして。

 今月出た電撃文庫の新シリーズの中では、一番お勧めです!
 えっと……某木乃坂は……あれは読む人と言うかお勧めする人選ぶでしょうし(汗 

評価は10中8。というかすげ〜たのしかった。なんというかなんども再読してにやりとする、そういう言う本です。おすすめです! とりあえず気になったら買っても吉かと。

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