高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

カラミティナイト(3)

 カラミティナイト(3)
 著/高瀬彼方 イラスト/西村博之
 発行/角川春樹事務所 ハルキ文庫ヌーヴェルSFシリーズ
 (ISBN:4758430675)(高森太郎書店では『注目の新刊』のコーナーに)

 本屋の、奥のほう。歴史小説などが多いハルキ文庫の渋い装丁の中、奥のほうに、申し訳なさそうにおいてあったこの装丁の本。探すのに正直苦労しました。が、それだけの価値はある。非常に面白かった。感動した。


 遠野忍にやどる、「災いの心臓」カラミティハート。その魔力を解き放てば世界を破滅に追い込むことができると言う。その心臓をめぐり、戦いに巻き込まれた少女、沢村智美と櫻井優子は、傷つきながらも二人の絆で歩んできた。
 しかし、また一人、忍のいとこでかつての恋人が、「慟哭の三十人衆」に狙われていた。しかし、忍は戦うことはできない。そして、智美と優子は、彼女を守るために動くが、しかし、彼女は、智美の存在に気付いてしまう。そして……

 ボリュームがすごくあって読み応えがあり、そして、すごく感情移入できるこのシリーズ。その分、読む体力がいるシリーズでもありますが、陰のほうに傾いた、すごく暗めの話だけれど、その中に一筋のように、人を思う絆が。そういうシリーズ、第3弾。

 うーんと。第一印象は。なんかすげー変わったなぁ。ていうかんじでした。いままでは、なんというか、読んでいるとぐぐぐ、っとくるような、すごく陰な感じだったのですが、なんというか……じゃれあってます。(汗

 だけど、読んで行き、最後で、それの意味が出てきたのか……。と言う感じですね。

 非常に丁寧に書かれている心理描写はやはり圧巻。字の分が多くて黒い〜。ちょっと厚いなぁ。と友人には言われてしまいましたが、しかし、そのなかで、そのときそのときをしっかりと切り取っている感じです。

 以下ネタバレ含む。(多分、人によっては超ネタバレになりえる内容です。ご注意ください!)


 智美。優子。そして、美由紀。なんかすごく最後はあっさりで、ひっぱってひっぱって。そして、なんかすごく思わせぶりな感じだったけれど、実際はあんまり状況が変わってない。だけど、実は、智美が優子に、ではなくって、やっぱり優子も智美に、って言うところがあったんだなぁ。と思う。しかし、最後の思わせぶりなのは……。正直、どうなんだろ。

 それから、智美の本好きの気持ちの描写は、なんかすげー重なってうんうん、とうなづきながら読みました(笑) いや、たぶん、この本を読もうとする人には必ずうなづきながら読めると思いますよ。ええ(笑)

 イラストは、西村博之氏。さすがの実力。そして、表紙でなぜか照れている智美。読み終わったあと、眺めると。なんかすげーいい感じの表紙です。

 評価は10中7。シリーズ買い対象です。

 というか、ヌーヴェルSFシリーズ、最近刊行がないのですが……。この作品も続きを心待ちにしているのですが、他にも待っている作品はあります。お願いですから、続きを読ませてくださいm(_ _)m土下座。