高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

銀盤カレイドスコープVol2

 銀盤カレイドスコープVol2 〜 フリープログラム Winnewr takes all?
 著/海原零 イラスト/鈴平ひろ
 発行/集英社 集英社スーパーダッシュ文庫
 (ISBN:4086301334)(高森太郎書店では最近読んだ本。に。)
 前の「銀板カレイドスコープvol1 *1」を読了後、むしょ〜に読みたくて読みたくてしょうがなかった2巻、地元の書店で昨日入手、そして即日読了。これは……Vol1とVol2となってますけど、実質的には上巻、下巻です。ふたつでひとつの物語。Vol1を読んだときはそれ単体でも面白かったのに、これを読んだら本当にそう思った。

 16歳の少女、桜野タズサ。彼女は、美貌と才能に恵まれた、日本でトップクラスのフィギュアスケーター。そして、ついに、オリンピックへの出場が決まる。が、その毒舌。減らず口。付きまとうマスコミを追い払っているうちに、マスコミに嫌われ、あからさまに悪意のこもった報道により、ライバルを蹴落とし、成り上がった小娘として人々に嫌われていた。 本人はそんなつもりはないにもかかわらず、である。世間の声にみみをふさぎ、練習にうちこむ。そして、オリンピックと言う大舞台と、過剰な期待と重圧に……

 言いたいことを言う、減らず口なキャラクターなのに、実力で、才能だけでなく、努力をかさねている。あるいみ純粋な少女が主人公。自分の知る限りフィギュアスケートを題材にした小説と言うのはこれだけ、そして、ライトノベルではスポーツを題材にしたものもあんまり見ない。他には、「若草野球部狂奏曲シリーズ*2」とか、「赤城山卓球場に歌声は響くシリーズ」などしか知らないのだけれど、そのどちらとも違う感じ。
 前は、「生意気少女、立ち上がる」と言う感じだったが、今回は「生意気少女、人々に夢を」という感じだ。ただ、よくある「魔球」とかそういうものは出てきていないけれど、分かりやすくって……フィギュアスケートだけじゃないんですよ。人々の自分勝手な妄想に基づく言動。罵詈雑言。そして、それを先導し、ネタとしていくマスコミたち。それでも、大きく膨らむオリンピックという存在……。
 クールビューティー、(というか毒舌少女というか)な彼女に、まぁいろいろ。自分にはぐぐっときました。それから、フィギュアスケートの部分の描写がすごい。なんかまぁいろいろな意見はあるでしょうけれど、自分は結構良いと思った。
 以下、ネタバレ含む。

 あんまり主人公に感情移入する感じでもないが、そんななかで出てくるのが、彼女に取り付いた幽霊という存在。これが、なんか自分が見守っているきになるのかも。どっちかというと、自分はこの幽霊にシンクロしていたかも。
 終盤に見せる、彼女のすこしの弱み、とつらさ。自分との戦いと、自分が実力を出し切れるかということ。それらが……

 イラストは、成人向けコンピューターゲーム(あえてこういう書き方をさせてもらう)で数多くの作品を手がけている鈴平ひろ氏ですが、あえて言います。「イラストはもう少し考えてつけろ」。狙うならいっそ狙ってしまえ、そうじゃなければ本文をちゃんと読んで、描けといいたい。つーか顔みんないっしょじゃねえか絵柄自体はそれほどはずしている感じないのに、その、デザインてきな感じが、自分的にはあんまりあっているようには思えないなぁ。
 また、同じことは、上の本のタイトル部からリンクしているスーパーダッシュ文庫の紹介文、カバー裏のあらすじ、帯などを作ったやつにも言いたい。もうちょっとやりようがあるだろうと。これで結構損している感じ。そこらへんじだまされず、読んでみてください。それだけの価値はあります。おすすめ。

 評価は10中8。二冊並べて本棚に入れておきます。人に勧めまくります。
 購入するときの注意として、2冊一度に買うこと。まいじゃー推進委員会さまでもさんざん書かれていたのに、財政上の理由から1冊ずつかった自分は、まぁちょっとだけ後悔してます。
 追記:FANTASY BookMarkさまによると、なんと、1月23日に3巻が発売予定だそうです!今から物欲リストに追加。購入予定ですな、間違いなく。さて、あそこまで美しく完結したのに、どうするのかなぁ。期待して待ちます。

*1:高森太郎書店では「燃え&萌え」のコーナーに

*2:高森太郎書店では笑い&和みコーナーに