高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

ミニキャブMiEV(軽バン電気自動車)のコスト計算をしてみた

思うところあって、ミニキャブの電気自動車版「ミニキャブMiEV」の燃費やら、差額の元が取れる期間やらのコスト計算をしてみた。
ミニキャブミーブは、年内にも市販が始まると言われる、三菱自動車工業製の商用電気自動車である。
詳しくはWEBCG『三菱ミニキャブ・ミーブ 10.5kWh仕様(MR/1AT)【短評】』などを参照。一応年内に発売開始予定だそうである。

計算基礎データ

設定金額は以下の通り。

品目 価格 出典
電気代1KWhあたり 22円 電力会社 従量電灯での料金
ガソリン1リットルあたり 160円 石油情報センター
ミニキャブミーブの一回充電の実効燃費 80km 10.5KWhバッテリーモデルとして、SPECの0.8倍
通常ミニキャブ実効燃費 13.8Km/L ミニキャブのカタログ値の0.8倍
ミニキャブミーブの価格(10.5KWhモデル・補助有り) 160万 報道より。おそらく当初は値引きしないと思うのでそのまま
通常ミニキャブの価格(5速MT,2WD) 90万 カタログ100万だが定価販売はほとんどされないため。
電気自動車の充電効率 0.9 適当。だけどかなり甘いかも…

とする。

普通に計算すると…

1kmを走るコストは

項目 計算 結果
通常ミニキャブ 160/13.8 11.6円
ミニキャブミーブ ((10.5*22)*.9)/80 2.6円

となるその差は9円/km。すると価格差が約70万なので、77,778キロ乗ると元が取れる計算になる。

通勤に往復一日30キロ乗るとして、年間勤務日数が230日とすると、通勤だけで元を取る*1には
77778/(30*230)=11.2721739
と言う事で、11年3ヶ月ちょっとかかることになる。長い…。
以下に年間勤務日数が230日の場合の、通勤距離別の元を取るまでの表を示す。

一日の走行距離(km) 年間の利用日数230日としたときの年間走行距離(km) 元が取れるまでの年数 年間の燃料代差額 燃料代差額の年利換算
5 1150 67.6 ¥10,350 1%
10 2300 33.8 ¥20,700 3%
15 3450 22.5 ¥31,050 4%
20 4600 16.9 ¥41,400 6%
25 5750 13.5 ¥51,750 7%
30 6900 11.3 ¥62,100 9%
35 8050 9.7 ¥72,450 10%
40 9200 8.5 ¥82,800 12%
45 10350 7.5 ¥93,150 13%
50 11500 6.8 ¥103,500 15%
55 12650 6.1 ¥113,850 16%
60 13800 5.6 ¥124,200 18%

安い電力が利用できるとすると…

ではもう少し工夫をしてみる。ここで充電に「低圧動力用電力契約」が利用できる場合*2、電気料金が1KWhあたり12円になる。この条件で計算しなおすと、1kmを走るコストは

項目 計算 結果
通常ミニキャブ 160/13.8 11.6円
ミニキャブミーブ ((10.5*12)*.9)/80 1.4円

となり価格差は10.2円/km、70万の元を取るためには68,628kmとなる。ここで距離別に計算すると

一日の走行距離(km) 年間の利用日数230日としたときの年間走行距離(km) 元が取れるまでの年数 年間の燃料代差額 燃料代差額の年利換算
5 1150 59.7 ¥11,730 2%
10 2300 29.8 ¥23,460 3%
15 3450 19.9 ¥35,190 5%
20 4600 14.9 ¥46,920 7%
25 5750 11.9 ¥58,650 8%
30 6900 9.9 ¥70,380 10%
35 8050 8.5 ¥82,110 12%
40 9200 7.5 ¥93,840 13%
45 10350 6.6 ¥105,570 15%
50 11500 6.0 ¥117,300 17%
55 12650 5.4 ¥129,030 18%
60 13800 5.0 ¥140,760 20%

と言う数字になる。

結論として…

個人で短距離の場合なかなか厳しい結果が出たが、通勤距離が片道25キロを越える場合は純粋に経済的収益が得られるので検討する価値があるだろう。
また、

  • 最高時速100キロ
  • 乗り心地?何それおいしいの?
  • インテリア?エクステリア?何ですかその都市伝説
  • 遠乗りは無理。半径30キロの往復が限度
  • 電気自動車は発展途上。耐久性や燃料代以外の維持費は不明な点が多い

等々相当割切る必要がある。なのでかなりのケースでセカンドカーとなるだろう。
ただし電気自動車であるという事で得られるメリットは、非電気自動車では絶対に得られないので、そこをいくらと考えるかというのも重要である。

一方、法人あるいは個人事業主が使うには条件次第で純粋に経済的メリットが得られるようになっているのはすごいなと思う。たとえばこのミニキャブミーブのテストをしたヤマト運輸では一日の走行距離が60キロ程度でストップアンドゴーを繰り返す運用らしい。運転手は交代するとして、整備等で年間ダウンタイムが20日で345日稼働するとすると、3.3年で元が取れ、元が取れた場合毎年21万経費を節減できる事になる。これだけでかけりゃ銀行も喜んで金を貸すだろうし、導入もするってもんである。
日常の足、道具としての電気自動車の普及はすぐそこまで来ていると言う感じがする。