高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

増子二郎『ポストガール(4)』

ポストガール〈4〉 (電撃文庫)

ポストガール(4)』

著/増子二郎 イラスト/GASHIN

発行/メディアワークス 電撃文庫

 戦争により荒廃した世界で、郵便を配達する人型機械……MF108-41シルキー。彼女は自らの自意識システムに「バグ」をもっていた。それは機械である彼女にはあってはならない人間のような行動をもたらすもの……。
 彼女はある日、立派な館へと郵便物を運んできた。開け放たれていた扉からつい挨拶もなく入り込んでしまったそこには、巨大な空間と、そしてそこに規則正しくならぶ本棚……。まるで図書館のような屋敷。図書館みたいな、いや、ほとんど図書館。 シルキーは、そこの主人の女性に、本を読んでみることを進められ……(第十八話 ブックワームズ 他五編収録)

 郵便配達を行う機械――心にもにたバグを抱えた少女が、配達先でさまざまな出来事、人と出会う。郵便配達電撃hp短編小説賞受賞し、電撃hpで連載されてきた物語、4巻にして最終巻です。1月発売、電撃文庫新刊。

 なんというかなぁ……バイクでいろいろな人に出会うというお話で、世界は戦争の後で荒廃している。その中で、自分が機械であるということにしらばれれつつも、時に人間よりも人間らしい部分を見せるシルキーが、戦争をいまだに引きずっている人、今は前向きに生きている人、戦争のことなど知らない人、再び動き出す世界、そんなものをみていく。人を喜ばせたり、悲しませたりすることが書いてある手紙を持って。

 派手なアクションはありません。だけど、そういう出会いで丁寧に書かれた物語が、そのときのシルキーの気持ちと言うのかな、そういうのが伝わってきて、なんとも切なくなったり、そして優しくなったり。

 今回収録の作品には、上にちょっと書いた「ブックワームズ」と、「ディパーチャー」というお話が好きかも。そのほかにも、心に沁みる話が一杯。基本的に短編集なので、途中から読んでも大丈夫です。

 以下ネタバレ含む。

 なんというか……正直最終巻といのは残念かな〜と思います。好きなシリーズではあるから、ってのもあるんですが終わり方が唐突っていうか、次なる旅立ちでしょうが、その先でどうなるのか、気になる終わり方なのがちょっと。
 そして、その中でいくつか出てきますか、彼らはどうなったのかなぁ……と。
 それから……やっぱり最後まで思うのは、電撃hpの初期の頃、大神直騎氏だったころの連載時のイラストのテイストで、GASHIN氏が書いてくれたほうが好きだったかも、とは思ったりします。ちょっと登場人物がやわらかすぎてちょっと違和感があるかも。もうちょっとこうシルキーは外見年齢上のイメージなので。 だけど、そこら辺を差し引いても絵はいいかんじなのですがね。

評価は10中8。(シリーズ評価)お勧めシリーズです。最終巻はちょっと残念だけれど、増子二郎氏の続編を期待!