高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

樹川さとみ『楽園の魔女たち (21) 楽園の食卓(後編)』

楽園の魔女たち(21) 楽園の食卓(後編)』

著/樹川さとみ イラスト/むっちりむうにい

発行/集英社 コバルト文庫

 戦いに向かっていく世界のなか、ファリス、マリアの二人は、戦いを止めるため、そして自らの友のために、人々が立ち入らない森へと入っていく……。
 そしてついに核心に近づいていくサラ、そして自ら帝国を率い戦っていくダナティア。そして、ついに約束の期日が来る……。

楽園の魔女たち』シリーズ、全21巻の最終巻、読了。コバルト文庫今月の新刊。


 読了後…感無量。というかなんてさわやかなんだろう……まぶしくて、なんかすげー元気が良い感じでありまして……だからってこう、読んでいて疲れる感じが一切しない。
 明るくて素直、お子様だけど実は男爵夫人なマリア。
 底抜けにまっすぐで、人を疑うことを知らない、いつもなんとなく不幸な(汗 ファリス。
 高飛車で、でもって帝国の皇女だけど、人一倍やさしくて、じつは何気にテレやなダナティア
 鉄面皮、とか言われるけど、時に冷静に、時には一番情熱的に物事に当たる頭脳明晰なサラ。
 この四人に元気をもらいました。よっしゃ〜試験がんばるぞ、みたいな。


 話は……やっぱりほわんとして優しい物語です。なんだかどんどん迫ってくる感じですが……個人的には「あぁ〜、やっぱりナハトールはやっぱりナハトさんなんだな〜と、ちょっと安心。
 楽園の食卓、前編、後編、そしてそれ以前からず〜っと練られてきた物語が、ちゃんと昇華されている。読み応えは結構あるのに、そんなに硬くなくって重くなくって、すっと読めます。そして、いつものとおり、なんにもかんがえずに読めちゃいます。たのしめます。
 そして、笑うっていう感じじゃなくって、微笑むっていう感じ。あぁ、彼女たちはなんて前向きなんだろう。ってね。

 以下、超!重大なネタバレ含む!

どうしても我慢できないので書きます。重大なネタバレなので、未読の方は読まないでください。
 一番最後に彼女たちは楽園をふるさとにして、それぞれに卒業していきます。そして、最後に残ったのは……彼女でしたね。そして……あの途中の巻に出てきた例の老人たちのように、同窓会をしていくのでしょう。
 彼女は……たぶん、すごく良い魔女になると思います。エイザード……ではなくって、どっち買って言うとさらにその先代のような……。そして、やっぱり彼女は良い先生ですし。そして、彼女はそこで、誓いのとおり、誰kが困ったらすぐに駆けつけるのでしょう。
 この作品は、ぐっと感情移入していくという感じより、微笑みながら見守る的な物語だと思いますが……そのなかで、一番感情移入したのは、彼女かな〜って思います。なんか……そんなのがよかった、よかったって。彼女のことが、一番最後まで……でしたから。そして、ナハトさんはやっぱり楽園に帰ってくるでしょう。彼女がいる借りぎり。
 そうやって、想像しちゃうくらい、良いラストでした。

評価は10中9.5(シリーズ評価) 全21巻。ちょっとヘビーですけど、是非読んでください。おすすめです!