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高森太郎の日記。@hateblo

高森太郎の日記のはてブロ版です。

Sony ReaderのDRMの詳細を探る ~ もしかしてSONY のDRMは現状一番マシでは ?

もしくはSONYのステマその2?(ぉ

前回DL1年制限に惑わされるな! SONY Reader編 ~現状最強は紀伊國屋だけど SONYもがんばってると題したエントリーをあげたが、その中では仕組みの話をしたが、実際にSONY Reader一本しかもっておらず、SONY Tablet等を持っていなかったので実際どうなのかと言う話ができなかった。

その中で

Reader用にダウンロードしてあるデータを、バックアップ・リストアと同じ手順でTabletへ転送できるかは不明。両方持ってる方だれか試してください!*3
もしこれが可能なら、クラウドストレージにmhnデータを保存しておき、ダウンロードしてきてReaderアプリで開くというプチ仮想本棚みたいなことも可能かも…?

等と書いたのだが、このたびついに誘惑に負けてSony Tabletを入手したので、いろいろと試してみた。
と言うわけでその結果をまとめてみる。
その前に一つだけ。
この記事は高森太郎が勝手に試した結果で、メーカが保証したりするものでは当然ありませんのでこれを利用する際は自己の責任の下、十分に検証し安全を確保した上で行ってください

検証結果

結論から言うと、いずれも同じMY SONY IDで認証を行った装置上で、以下のいずれも可能であった。

  • SONY Reader用に、PC上でReader Transferアプリからダウンロードした電子書籍を、SONYタブレットにSDカード/ネットワーク他で転送して読む
  • SONY Tabletで購入して、SONY Tablet上に保存されていた電子書籍を、SONY ReaderにSDカードで移して読む

このとき、新たな認証は必要なかった。(オフラインでよい)
さらに言うと

  • 購入済みのファイルをSDカードや、USBストレージとして認識されたReaderにWindows上でコピーしても認識される
  • 購入済みの電子書籍データはデフォルトでは「000000000001E07A.mnh」などと適当な16進の数字になっているが、これ名前を変えても認識される(日本語可)

これはかなり大きい事で、これで事実上、自炊してマスターデータ(元の書籍)を削除した電子データと同じようにきちんとバックアップを取っていれば、1年の再ダウンロード期限はほとんど問題はなく、また機種を乗り換えてもおそらく再生できることが確定した。

だいたいの人は上記だけ認識しておけばいいけれど、これは実は非常に重大な事で、続いて詳細を書く。

実はSONY Readerが採用しているDRMシステムって現状最強じゃね?

上で書いた事が可能だと、

  • 普通にそこら辺にあるクラウドストレージを使って簡単に自分だけのクラウド本棚的なものを構築できる
  • SONYがもうちょっとがんばれば、DRM付きとしては一番最強の環境を構築できる可能性がある

と言うことがある。いかに説明しよう。

まず、前回の記事にも書いたように、SONY Readerが採用しているMarlin DRMは機器に認証を与える形式のDRMである。そのため、個別ファイルは普通のデータとして流通できる。コピーに何ら制限はないが、開くことができるのは、認証された機器だけであると言う特徴がある。
また、今回実験した結果では、ダウンロード購入したデータは、自分でエクスプローラなどで開いて名前を変えても正常に認識される事が分かった。Transferアプリなどで「保存場所を開く」とすると当該のファイルがポイントされたままエクスプローラで開かれるので、そこでささっとリネームできる。
そうしてリネームしてわかりやすい名前にしたファイルを、Dropboxなどの汎用のクラウドストレージにあげてしまえば、あっという間に自分だけのクラウド本棚が構築できるのである。クラウドの保存しておいて、読みたいときにダウンロードして読むという形だ。
もちろんSDカードに保存しておいて、読みたいときに差し替えるとか言うことも普通にできる。これらは完全にネットワークの先に預けるしか選択肢のない各種クラウド型の読書システムよりも自由度が高いといえる。

次に、SONYがもうちょっとがんばれば、という所だが、これは以下を改善するととおそらく使い勝手で勝ることができる。

  • 購入する電子書籍の保存する名前形式をファイル名で認識しやすいものに変更する。
    • 著者名『書籍名』的な形で。カスタマイズできる機能があればかなりよい。
  • Andoroid/iOS/Windows/Mac向けにビューアーソフトを出す。
  • mnhのメタ情報(著者名、出版社名、タイトル等の暗号化されていない情報)の形式フォーマットを公開する

ビューアを出せというのはすぐには難しいかもしれないが*1、そのほかはすぐにできるのではないだろうか。
これが実現されるとどうなるかというと、

  • どのプラットフォームでも読める環境を構築できる
  • オンラインを前提とする必要が無いので、一度機器認証すればオフラインでも読める
  • 汎用のクラウドストレージで、いつでもどこでも読むことができる*2
    • クラウドストレージ側がやる気があるなら、mnhからメタ情報検索を可能にできる
  • コピー、バックアップは自由
  • DRMの仕組みが相互乗り入れを前提としているので、一つの機器で複数の電子書籍ストアの書籍を読める

これは、紀伊國屋書店やAmazonが米国で展開しているKndle等、クラウド型のサービスより自由度が高い。
また、DRM付きのコンテンツにおける最悪の事態…サービスが終了して認証サーバが停止すると言う事態にも強い。
一度機器認証を行ってしまえば、定期的に再認証を受ける必要が無いので、装置が壊れなければ半永久的に読み出すことが可能と言う性質があるの。なので親玉が死ねば全部死ぬ完全にクラウド化されていてこちらのコントロール権がないやつよりはマシである。

また、ファイルの流通に対して、始めに暗号化して渡す所以外はあまり頓着する必要が無いので、便利なクラウドサービスなども作りやすい。
さらにはMarlin DRMは公開されたDRM規格であり、汎用のサーバソフトウエアなども市販されているので電子書籍屋が導入しやすいDRMだ。そういう性質上、双方が同意すれば機器に対して相互に乗り入れが可能になる所も大きい。クリティカルなポイントが分散できる事になる。

個人的にはKindleが普及して全部デッドロックされるより、SONY Readerが採用するMarlin DRMに乗り入れする形で複数の電子書籍ショップが繁栄していくのが数倍もマシであると思う。

さて、最後に…。ここから先は邪推でしかないのだが。
SONYはここらへんの事情をあんまり大きく言えないのではないだろうか。クラウド型のサービスは「いざとなればこちらでコントロールできます」という事ができる。
SONYのもそういう言い方をできる限りしておく必要があるのではなかろうか。
正直「Transferアプリを使わなくても実はコピーするだけで転送できます」とか「ファイル名をわかりやすい名前で保存する」とか「ファイルは自由に保存できますが、登録した機器でしか再生できません」という説明はできるはずだ。でもこれはできないのは、いろいろと事情があるんじゃないか、と思う。
実は上記内容は、tabletを購入する前に、SONYに問い合わせた。すると「DRMの仕組み上可能ですが、試してないのでできるかはわかりません。なお、電子書籍の実態ファイルの拡張は「.mnh」です」と言う何とも煮え切らない…中の人の苦悩が透けて見えるような…そういう答えが返ってきたりしている。
つまりはそういうことなのではないのだろうか?

自分はDRMはさっさと消えて滅べと思っている。こんなもんはユーザが考えることではないからだ。
しかしどうしても必要ならば、ユーザができる限りそれを意識せずに扱えるのが大事である。そういう点で、このMarlin DRMは非常によくできている。
一方自分は電子書籍であろうと多様性が必要だと思う。一社が独占して強くあり、後は有象無象というのはWebやコンピュータの世界ではあたりまえではあるが、電子書籍ストアなどがそういった状況になるのは厳しい。しかし、DRMは必要悪として必要ならば、できる限りオープンな仕組みで、統一される方がよいと思っている。

そういう技術的以外のつまらないしがらみがあって大変かもしれないけれど、とりあえず今後ともがんばっていただきたいと思う昨今でございます。
紀伊國屋書店が電子書籍ストアとしてはクラウド型とMarlinDRMを採用してSONYReaderに対応するなどアグレッシブにがんばっていただいているが、品揃えはReaderストア以下で結構苦戦している。
そういうところで、是非がんばって、特に末永く電子書籍をやっていってほしいと思う。

余談 SONY tabletDLNAについて

どこかに「DLNAがSONY製の機器でないとつながらない」という書き込みがあるが、これは誤解である。
少なくとも、自分が所有しているFreeNASに搭載されているUPPERというGPLDLNA対応サーバソフトや、Windows7のWindows Media PlayrのDLNA、NEC製ルータに搭載されているDLNAは認識したので事実では無いと思われる。

注文した後この書き込みを見つけ「え。マジで…?」と一瞬落ち込んだが、実際に届いてから試したら普通に動いたので一応書いておく。
まぁDLNAは意外とサーバとの間で相性問題が結構あるので動作が怪しいことはままあることではあり、その場合でも他のDLNA対応ソフトを使わせていただければいいだけだけれど。

*1:特にMarlin DRMは専用ハードウエアを用いる事が前提のところがあるそうなので…ただ、ARMにはセキュアな情報をハードウエア的に扱う仕組みがあるそうなので、それを利用して何とかならないだろうか?

*2:実はSONY Reader Storeは再ダウンロード期間に明確に制限のないものは無制限なので、すでに一部を除いてクラウド本棚化されているとも言える