高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

id:trivial氏へ返事というか私信的な何か

上の記事を書き終わって読んでいたところ、すでに元記事となったid:trivial氏が新しいエントリー高速道路料金引き下げの帰結としての「再編」とは?をアップされていたので、それをふまえて私信的お返事風で書いてみます。

お盆の高速道路大渋滞に期待する - 一本足の蛸で指摘した高速道路料金割引の問題点は2点。

高速道路割引の問題点ではなく、私がブックマークのコメントで話題にしたのは「休日最高千円」と「高速道路無料」が同じとして、無配慮に扱われているこです。

  1. それまでフェリーや鉄道などを用いていた人が高速道路に切り替えることにより、公共交通機関が衰退すること。
  2. 高速道路を利用する自家用車が増えることにより、高速バスやトラックなどの円滑な運行が阻害されること。

この2つの問題点は料金最高1000円という現に実施されている政策でも、無料化でも定性的には変わらないはず

単純に高速道路を無料化すれば、定性的に同じかも知れませんが、単純に無料化するという話ではありませんし、その政策が目指すねらいも異なりますから、その性質自体異なると考えます。
民主党も単純に無料化するつもりはないようで、出口を増やすだとかいった話をしているようです。(古い資料しか見つからなかったのですが民主党による「高速道路無料化」政策に関するQ&Aでその考えがわかります。*1 )

その再編が現状よりよい交通網の実現という形で訪れるのか、それとも一旦崩れた交通需給バランスを建て直すだけのものになるのかはわからない。

単純に無料化すれば、単に需要バランスが変化するだけで終わるでしょうが、もしその場合だけでも、私は無料化は重要だと思います。何故かと言えば、交通はそれ自体は手段でありインフラで、人の移動、物資の移動を柔軟に行えるのは今のところ道路交通網意外にはありませんから、今そこにある問題点を解決するには有効だと思います。

ただ、目先の渋滞対策のためにバイパス道路の新設や車線増を安直に行うのはやめてもらいたいと思う。長い目でみれば人口減少による交通需要の減少が見込まれるので、過大投資になる恐れがあるからだ。

全く同意です。あえて付け加えさせていただくと、同じようにそのほかの移動手段も安易に投資することは控えていただきたいと思います。高速道路無料化とは、既存のインフラの能力を引きす行為ですから、その点でも優れていると思うのですが。

高速道路を巡る問題にも、交通需要マネジメントやモビリティ・マネジメントの考え方を導入する必要があるのではないか。もちろん、都市内や都市近郊の近距離交通を主要な対象とした施策がそのまま高速道路にも適用可能だ、などと言ってしまうと楽天的に過ぎるだろう。

そうですね。高速道路無料化の主戦場は地方ですから、それらの考え方が全く役に立たないとは言いませんが、特に交通需要マネジメントは、机上論ならともかく、何らかの革命が起きなければ、今の現状地方に適用できるようにはならないでしょう。モビリティ・マネジメントそういった論を適用して、改革して行くには、少なくとも数十年という単位の年月が必要だと考えます。しかし、我々の人生は限られているのですから、私は現時的な考えをしたいと思います。

ロードプライシングなどは高速道路にも適用可能な仕組みだと思われる。

まったく同意です。適用可能というか、すでにETCによって柔軟な料金体系が可能になったせいか、すでに行われていますね。
民主党首都高速などは適用除外としていますし、私も恒常的に混雑する路線についてはそうすべきだと思います。ただ、机上論としては恒常的に混雑する路線は、確実に需要がある路線であるわけですから、これによって対策をしたと言うことにはしてほしくはないと思いますが…。まぁその、これを言い出すと「都心の鉄道から満員電車をなくせ」みたいな話になっちゃうので、アレなんですが。高度ITSが額面通りに普及すればまた違うのでしょうが。

「道路交通網を常に意識しなくても生きていける人」かどうか(※)は、これらの問題点を論じる上で大きなファクターにはならないのではないだろうか。

※ ちなみに自分自身の生活環境に照らして言えば、最寄りの駅まで約10km、間をつなぐのは1日4便のコミュニテイバス、通勤には当然自家用車使用という状況なので、道路交通網を常に意識しないと日常生活を営むことはできない。道路交通網のごく一部をなす高速道路についてコメントしただけで、高森太郎氏がなぜ「道路交通網を常に意識しなくても生きていける人」と考えたのか、その根拠を知りたいものだ。
(注記記号の付け替えは引用者による)

なぜ「この著者は、道路交通網を常に意識しなくても生きていける人だ」と考えたかと言いますと、それは代替手段として電車をあげていたからですよ。ご自身は電車で首都圏に行かれると。
私の地元では、まともに首都圏はもちろん、他の都市に行くには、すべて自動車交通網を使わず出て行くことが現実的ではないのです。たとえば東京に出るために、まともな特急も走っていないローカル線で、移動にほぼ丸一日かけ乗り継ぎを繰り返せば電車でも行けますが、高速バスを使うと、最短3時間で行きます。
電車を利用するときは、道路交通網を意識する必要はないだろうと考えたので、そう表現しました。
半分妬みが入っています。まともに高速道路の代替になるような電車が使える環境にあるのだと。それだけのことです。

なお、自分は「だから言う資格がない」等と書いたことはありませんのでそのあたり誤解がありそうなので書かせていただきます。

*1:個人的には引っかかるところもあるので全面的に民主党案に賛成というわけではない、それは大抵他の政策でも同じなのでアレですが。