高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

父親にIT革命を起こす計画を発動する。

 ちょっと父親の話をする。

 うちの父は、今年60半ばを超えたくらいの年齢である。自分が今23歳であることを思えば、結構年齢が行っているほうであるといえる父であるが、結構新しいもの好きであり、メカ好きである。
 父の持ち物としては、メタル対応の古いが巨大なカセットテープレコーダーとか、高さ80 横50、奥行き50くらいある大型のスピーカーとか、結構古いレコードプレーヤーとかがあり、昔は引けたらしいアコギなどが出てくる。が、だいたいものが今から三十年前くらいまえ、ちょうど結婚後、姉が生まれる位までのものである。

 父は、次男である。長男である伯父は、当時農山村出身としては珍しい工学系の大学に進み、地元を出て行ってしまった*1ため、次男でありながら、家を継ぎ、兄弟の中で唯一大学を出ず、地元の農業専門高校を卒業後、実家に入り農業を継いだ。(これは当時は結構珍しいことであったはずだ)
 農家というのは基本的に個人事業主であり、農機具の扱い方などはかなり自分でやるという点を差し引いても、機械好きであり、農業用のバックフォー(いわゆるシャベルカーである)を分解して修理してしまったりと行った事もしている。また、新しいもの好きである。
 当時の事はよく知らないのだが、長男である伯父は出て行ってしまったので、父は農家を継ぐことになったのだが、そうではなかったら、そういう仕事をしたかったのではないかなぁ、と思う事がある。


 そんな父の部屋には、古いNEC文豪のワードプロセッサが置いてある。ワープロ専用機である。白黒であり、一応パソコン通信対応でモデムを内蔵しているものがある。内蔵メモリが少なくて、基本的なワープロ以外を使おうとすると、フロッピーディスクでシステムディスクを入れ替えないと行けないといった部類の、ちょっと古い奴である。
 とうの昔に、内蔵のバックアップ電池が消耗しきってしまっており、設定も残っていないし、起動したあとに「補助ディスクを入れてください」とかいうメッセージが毎回でたりして、ほとんど使えない状態になっているものだ。 これは、姉がワープロの技術を習得するために買ったもので、気がつくとすでに十数年たっているもである。

 その父の部屋の前を通ると、夜、たまに「かたかた」というキーボードをうつ音や、「ビー」というビープ音がしてくることがあるのである。……どうやら、そんな古くてプリンタも壊れ、おそらく保存も何も出来ないワープロを、父はいじっているらしい。


 そんな、時代が時代なら間違いなく立派なギークになっていたであろう父は、まず間違いなくコンピュータを使いたいであろうと言うことは、息子である自分でなくても、わかるだろうと思う。

 実は自分も、就職して以来父にコンピュータをプレゼントしようと何回も考えていた。が、実際自分の基本給なんかは某法律ぎりっぎりだし、いろいろな日々に必要な金を抜いていくとほとんど無く、まぁ残業代があれば多少はたまるけど、といったレベルであり、正直難しかった。

 そんな状況なのだが、ついこの間きっかけがあった。それはお正月の恒例、叔父叔母等や親戚があつまって開かれる新年会でのことで、父の一番下の弟の叔父が、「太郎君(仮名)、俺さ、あたらしいパソコンかったのよ」と話し始めたことである。
 きくと、Windows Vista Home Premiam搭載のNECのノートコンピュータであった。叔父は今年60になるという年齢でああるが、実は独身であり、お金は結構あるのだった。というわけで、前のWindows XP搭載のコンピュータを、新しいのがでたからと行ってあっさり手放し、買ったのだそうである。
 そして「兄貴(つまり父のこと)もパソコン買えよ」といったのである。これが結構きいた。我が家にはあまりそういった余裕は正直無いので、買えないといっていたのだが、正月、その叔父も含め、初売りでコンピュータを見に行ったりしたのである。

 結局踏ん切れず買わなかったのだが(ほしいやつはみな高かったのと、よくわからないというのがあったのだと思う)、しかし、今その気になっているのである。


 そこで、息子としては、冬のボーナスの一部を使い、父のパソコンを贈る計画、名付けて「親父IT革命計画」をスタートすることにした。

 というわけで次のセクションに続く。

*1:ちなみに、その伯父はその後交通事故で自分が生まれる前に他界している。伯父に子どもはいなかった