本屋さんは大変だと思いました。
いつものように仕事帰りに本屋さんによって、コンピュータ書籍→仕事関係技術本→サブカルチャー的な本→一般文庫、書籍、新書→ライトノベル→マンガ単行本→雑誌*1という感じで店内をまわっていたのだが、ライトノベルのコーナーにさしかかって、いそいそと電撃文庫の今月の新刊等々をあさっていたところ、棚の向こう側に、なにかイレギュラーなものをみた。
以下、特徴箇条書き。
- キンパツ角刈り
- 薄茶色のグラデーションの入った……形としてはとがった感じのサングラス
- 白地に前は黒で「龍」後ろは「Dragon」と書いてあるTシャツ*2
- 膝丈のベージュのポケットがいっぱいついた短パン
- チェーン付の財布をポケットに入れるわけでなくカラビナでぶらさげ。
- 大柄で「がっしり」というより「でかい」
うわ、なんだアレ、とおもいつつ、さっくりと手に入れたい本をごっそりともって、彼らの隣を通り抜けてマンガ単行本のコーナーに抜け、とりあえずマンガ単行本のコーナーで新刊を物色していたら、店員さんがなんかぶつぶつ言いつつ、隣を通り抜けていった。
いつもこの時間帯に来るといる女性店員さんであるわけだが、なんか様子がおかしい。いつもは客とすれ違うとき必ず絶妙の声の大きさで「いらっしゃいませ」と声を掛けたりする感じで、きちっとしている人という印象であった。自分も以前、とある最高傑作級の人が取り上げた新書を読んでみたくなって探したときにお世話になったことがある。
しかし、今はなんかかなり急いでいるような感じで、コミックスをシュリンクを掛けたまま上から中身をみたりして、棚から本を抜き出して表紙をみたりしている。
これだけなら、捜し物ですか。検索システムがあるのに、めずらしーな。程度で済むのですが、
そうしたら、向こうに見えるキンパツ角刈りが、大声で
「エロいやつで二巻で完結するやつな〜!」
と、言うではないか。
その女性店員さんは、「はいっ」ととりあえず大きめの声で返事をして、再び棚に向き合い、結構大きめな声で
「エロやつって言われても、どうしろってのよっ」
などと愚痴って、再びシュリンクの上から中身を見始めた。
よく見るとそこの場所は、成人指定までは行かないものの、ある程度えっちなマンガが置いてある場所である。というかそもそもこの書店は成人指定のものは一切置いていないのだ。専門店なら別にあるし。
しかし、エロいやつで二巻で完結する奴か……とりあえずむつきつとむがあればそれがいいんじゃないでしょうか?*3 とか思うがそんなことをいえるはずもなく、とりあえずあのキンパツ角刈り野郎はそういうのじゃないだろうしなぁ……微妙に難しい条件だなぁと思いつつ。
なんか向こうではキンパツ角刈り野郎に、向こうのほうから似たような風貌のやつが「ねえ、これなんかどうっすか兄弟(注:二人称である)」などと叫んで本を振り回している。「おう、それエロか」「へぇ、エロいっす、すいげえエロエロ」とりあえずお前ら、少女マンガの新刊平積みコーナーから退けよ、何文庫コミックをばらばらとやってんだよ、本がめちゃくちゃじゃねえか。
すると、女性店員さんは、棚から一冊つかむと、その男のもとへ行き「これなんかどうでしょう」などとしている。「これエロいんだろうな」「はい、おそらく」「本当にエロい?」「エロいです、はいエロい」いい加減店員さんも釣られて単語がおかしくなってきている「二巻で完結だろうな」「はい」「本当だなぁあ?」「はい」「本当に本当?」しつこい野郎だな。
などとしている間に、どうやらその“キンパツ角刈り”野郎と“二人称「兄弟」”野郎の二人はさっていった。
そして、その女性店員さんは、淡々と彼らが適当にみたせいで結構みだれた文庫コミックスの棚を整えたのだった。
店員さんは大変だなと思いました……。 というか、自分も一応お客様に直接接するアルバイトをしていたことがあるけれど、精神的には、ほとんどいない一部のお客のために9割ぐらい疲れる気がするっていうのは、経験していたが……あそこまで濃いのは……。