もえ軍事本二冊『萌えわかり自衛隊』「萌えよ!戦車学校」
というかこの二冊を並べておいておく近所の書店にはやられた。というわけで、今日の読了、二本立て。
萌え、な軍事、ミリタリー解説本二冊であります!
というわけで以下はミリタリー系のことなんぞまったくわからないやろうのたわごととしてご覧ください。
■田村尚也『燃えよ! 戦車学校』
鉄道、乗り物ファン、および軍事ファンにはおなじみらしい出版社、イカロス出版が2005年に発行した萌えな戦車解説本であります。専門出版社による「萌え解説」本。
まず、戦車のみ! そして、戦車とはなにか、戦車と自走砲などの良く似たものとの違いは何か、戦車と戦略、どんな種類の戦車があるか、というまさしく「戦車の基本」といった話の後に、世界最初の戦車Mk1から、現代にいたるまでの戦車を解説。
萌え、というはあんまりアレですが、こういうイラストに慣れている自分としては、やっぱり途中に挿入されているとある程度わかりやすい。また、ちゃんと「こういう本を始めて読む人向け」に書かれていて、非常にわかりやすくできているのがいい感じであります。
構成は、萌えパートというか漫画が一部挿入され、それ以外は写真と文章による、結構硬派な戦車の解説があります。結構勉強になった。
とりあえず自分としては、教養としての戦車、なんていい方をするとアレですが、いろいろな本や、それに関する話の意味をそれなりに理解するのに必要な知識、見たいなのが欲しくてこれを読みました。こういう目的には非常に良く出来ていて、特に、戦車の基本的な話というのは「とりあえずトラクターに装甲板貼り付けてやればいいんじゃねーの?」といったあまっちょろい考えを根本から考え直さすというか、正しく理解するいい教材である。
また、萌えパートと、本格的な内容との比率はこれが一番いいんじゃないかと思えるような感じであった。さらに挿絵を描いている方がちゃんと正しく戦車のことを理解しているというか、少なくとも戦車好きであることには間違いない感じで、ここらへんがいい。萌え本でよくある「とりあえずさー、原作渡して欠かせればいいんじゃねーの」的なあまっちょろい、さらに言うと「絵があればよい」といった軟弱な考え方に一石を投じるものであろう(と、言うのは言いすぎ(ぉ))
ちなみに、続巻が予定され、専用のWebまでできております 。というか三月発売予定らしい。
■堀場亙『萌えわかり! 自衛隊』
こちらは、成人向け漫画、およびBLを発売している出版社が出す「萌え解説本」であります。
こちらは自衛隊のみですが……なんというのかなぁ。自衛隊の組織的意義とか、歴史とか、そういう堅苦しい武運はちょっとコラムで触れる程度……というかコラムは本文と執筆担当の方が違うせいか、非常にコンパクトで触れているのでわかりやすいのですが、やっぱりそれが中心ではない。
では、何が中心かというと
- 制服
- 階級および階級章
- 装備および備品
- 大まかな自衛隊の仕組み
である。が、どれもさくっと表面を触れた程度になっている。しかし、特に制服は非常にたくさんかかれており、何人かのイラストレータの手によって、すべて(男性用もふくめ)女性が来ているという制服図鑑になっていてなかなかよさげ。
結構きっちり作られてよい。というか妊婦服なんてものまであるとは始めて知ったよ。同時に「前線用の服はともかく、妊婦服とかそういう服に関しては、微妙に変えずに統一しろよ」などと制服の好きな方々に後ろから石をなげられそうな雑感まで覚えることができる(ぉ
陸海空、および防衛大学校について網羅。
階級および階級章などもとりあえず覚えれば見分けられる程度の知識が出ている。たとえば○○であった××の人は、実はそーとー偉いひとだったんだなぁ、といまさらながら思うとか。が、やっぱり結構複雑ではあるけれど。体系的にまとまっている。
そして、装備および備品。これは制服と違って、ほぼ全部網羅というわけには行かない感じ。有名どころとおよび、その種類の代表的な装備、備品に関して乗せているというところである。ただし、それだけでも結構なボリュームであり総合的に網羅はされている。
どれも、基本的なスペックについてなどは語らず、写真と、登場キャラクターたちの会話などの形式にしてさっくりと「これはどういうもので」「なににつかわれている」という感じで語られる程度である。自分的にはもうちょっと掘り下げてもよかったんでは、と思わなくも無いけれど「こういうものがある」というのを知るにはちょうどいいかも。
しかし、コラムはやっぱりちゃんときっちりしており、自分的にはもうちょっとコラムを充実させてほしかったなーとは思うが、これはこれで「萌え」なほうに傾倒したバランスとしては非常にいい漢字ではないかと思う。
■ 比較
さて、この二冊、同じ系統の本ではもちろんあるのだけれど、方や「萌え専門出版社による専門分野の解説本」かたや「専門分野の出版社による萌えを入れた解説本」という違いがある。
またどちらも、「とりあえず挿絵だけ」などと違い、けっこう正面きってキャラクターに解説をさせていたりする。
二つとも比較してみるとなかなか興味深い。まぁ性質やコンセプトが違うのだろうが、きっちり個性が出ている感じである。たとえば、モエールパブリッシングが戦車解説を出したら、さらーっと流すだけだっただろうなーとか、イカロス出版が自衛隊解説をやれば、もっと濃いものが……。
意外と補完関係にあるのかもしれず、と思ったりする。微妙なこの掘り下げる深さの違いなどは、なかなか興味深い。モエールパブリッシングのように「萌え」を売りにする会社によるこの手の本はこれから増えるだろうし(イーグルパブリッシングなんかは積極的に出しているし)、一時期「もえたん」および「萌え萌えUnix」に起源を発するこの手の本の話題はあんまり上らなくなってきているような感はある。しかし、ともすると、定着し始めているのか? という気もする。イカロス出版のように専門系が出す萌え解説本もでてくるんだろうか。
結構呼んでみたい。
どうしてかと言うと、専門系の出版社が出す「入門書」はたまにちゃんと入門書をしていなかったりして、わかりにくかったりするからだ。これは多分、専門出版社ならではであんまり入門を意識しきれてないのではないかと思う。
だけれど、このように萌えイラストをつけるとかすると明らかに「今までと違う読者を相手にする」ということを意識するだろうし、萌えパートに本文を削られるので、必然的にコンパクトになるということになるだろう。結構入門書らしい入門書ができるのではなかろうか。
まー、そー簡単にはでそうもないですが。でも、なんとなく楽しげに作っている感じがする。
どちらも完成度が高くてなかなかでした。シリーズとして続刊されたら買うかも。というか実はいろいろな事情でこのあたりのことはちゃんともっとチェックしたほうがいいのかもしれないと思い始めていたりはしますが。