高森太郎の日記。

高森太郎の日記です。

動画サイトを黒字にするには、制作者を強力に支援して囲い込んで金を取れ!

知り合いが動画投稿サイトを運営しています。 結構、アクセスはあるらしいのですが、一向に黒字になりません。 なにかいいアドバイスがあれば教えてください。というのが人力検索に出ていたので、最近すっかり動画サイトをながら見しながら、何か作業をすることが増えた自分として考えたことを素人が思考垂れ流しでだらだらと書いてみます。

結論を簡単に言うと「制作者を強力に支援して囲い込んで金を取れ!」と言う話なんですが。

金払いのいい人にお金を出してもらうべき

金を出さない人1000人いても、その人達は直接は金にはなりません。だからその人たちから直接金を取るわけではなく、広告という変換アダプタを間に挟んで、金を払わない集客を金に換えているわけです。ここら辺は民間テレビ・ラジオ放送局等の従来メディアから続く伝統的な考え方です。
が、インターネットは「一山いくら」ではなく、Google Adsenceを初めとして、最近盛んにターゲッティング広告が行われてきており、例えば「google:本棚」とかやると本棚やさんの広告がずらーっと出るようになるなど、どこの広告はもうかり、どこの広告はもうからない、あそこのサイトに広告を出してもクリック率はいいが、奴らはみんな金を払う気がないユーザが集まっているから、ちっとも金にならないとかそういうことがわかるようになってきてしまっています。情報技術って怖いですね。

だから、昔は金を出さない人出も人数が集まれば広告は出してくれました。ですが、今は分析が進み、本当に金を出さない人ばかりならば、広告で金を出してはくれなくなってしまったわけです。客の質も見えるようになってきています。これは今は一部ですが、今後は当たり前になっていくでしょう。

そうするとどうなるか。すると1000人いても10000人いても、100000人いても、金にならない客ばかりなら、広告が出なくなってしまうわけです。ならばどうするか、そうなれば「金払いのいい人にお金をだしてもらうき」と言うことになります。理想論ですが、1000人の金にならない人よりも、1人の金になる人を抱えた方がよく、儲かる人ばかりを集めた方がいい。

後は金払いのいい人達はどういう人たちか、ということになります。もちろんこれがきちんとつかめるならば、苦労はねーだろ、と言う話はその通り。ですが動画サイトにはそういう人が集まっているカテゴリがあるんじゃないでしょうか。

たぶん、動画投稿サイトのユーザーの中で、ヘビーユーザーと言われる人は何種類かいるかとおもうのですが、その中で今よりもお金を出してくれそうで、カテゴリとしてまとまっていてピンポイントにねらい打ちできそうなのは、制作側の人じゃないでしょうか。投稿者、あるいはジャンルによってはPとかも言われますが。

まずは収益力を上げるならば、そういった人たちをねらい打ちにして、強力に支援しながら、安定してお金を取るべきだと思います。

まとまった金払いのいい人々としての「動画投稿・制作者」

見ていると結構作る側は金持ちが多くって、動画製作にふぉとしょっぷだの、ぺいんたーだの、しぇいどなのぽーさーだのと高級なソフトウエア*1や、初音ミクとかボーかロイドだって今時のソフトウエアとしては安くないです。その上本格的な編集環境やDTM環境にお金を出している人もたくさんいます。
逆に、お金がないのでフリーソフトを活用して、しかしどう見ても効率は良さそうではないのですが……トライアンドエラーを繰り返して、苦労して動画を作っている人たちもたくさんいます。

そういう人たちはほとんどが趣味の人です。そしてお金をかけてもやる好きな趣味を発表する場として動画共有サイトを利用している人もいるでしょう。もちろん動画製作そのものを趣味としている、コミュニケーションを楽しんでいる人もいると思います。それが趣味のひとつとなっている限り、財布の紐はゆるみやすいのではないでしょうか。そこをねらうのです。

だからといって動画投稿を有料にしろだとか、馬鹿なことは考えてはいけません。そうではなく、動画投稿を支援してはどうかと思うのです。

制作者を強力に支援すべし(有料で)

動画を見ると、つまらないことで苦労していたり、損をしていたりする動画がたくさんあります。
典型的なのが縦横比がおかしくて縦や横にびろーんと伸びてしまったりする映像や、音ズレ、エンコード調整が不十分で映像が荒い、エフェクトが美しいのだけれどそれが原因で全体のビットレートが落ちているとか、文字が小さくて読みにくいとか、そういった、表現したいこと、投稿したいことは関係のない部分でロスをしている動画です。

そんな中身とは関係のないつまらないところで躓くよりも、もっと内容や他の所にこだわりたい人が大半だと思います。*2

実はこのあたり、きちんとした環境を整えれば、ある程度抑えられる問題です。例えばきちんとしたエンコードソフトウエアを用意して、適切にプロファイルを作り、エンコードすれば、動画投稿サイト側でも再エンコードされずにアップロードされますので、縦横比がおかしくなる現象も抑えられるでしょうし、音ズレなどは劇的に改善されるでしょう。

そういった部分をフォローするツールや、ソフトウエアなどを、月々いくら、あるいは一回いくらでライセンスする商売はどうでしょうか。

例えばエンコーダは安価な物でも数千円はします。もちろんフリーソフトオープンソースソフトウエアでもそういったものはありますが、如何せんやはり使いやすさでは市販品のほうがまだ勝っています。ですが数回だけしかやらない人に、手軽にそろえるのはハードルが高い。またソフトウエアの情報を求めて、うっかりした質問しよう物なら「過去ログ読め」だの「ググレカス」だのと言われるリスクを犯してまでコミュニティに潜り込んだり、継続してメンテナンスされているかどうかとか情報を精査したりするのは、なれた人でもかなり大変ですし、手段にそんなところまで手間をかけたくない人も多いでしょう。

携帯電話ですらある程度の品質の動画が撮れ、USB接続のカメラは安くなり、ムービーデジカメも多数出ているので敷居は下がっていると言われます。しかし機材的な敷居が下がっても、今までかけていた労力が別の部分にスライドさせ、編集して見やすく仕上げている人もたくさんいるわけですから、ただそれをぱっとアップロードしただけでは、なぜか人気を集めている他の動画制作者の方と見栄えが違と言うことになって、結局は言うほど敷居が下がった効果が出ないのではないでしょうか。あるいは、今作っている人出も、字幕を入れたいとか、手軽にエフェクトを使いたいとか、そういう要望もあるでしょう。

そういう人のために、たとえば

  • エンコードソフト
  • 動画編集・エフェクトソフト
  • アップロード前の動画チェックアドバイザー、自動アップローダ
  • 高度に設定ができる高画質エンコードサーバ*3利用権(月数回分)
  • ヘルプセンター利用権・事前に動画を見てアドバイスがもらえる権(月数回分)

等々をベーシックなパックにして月いくらとか、そういう商売です。(売りきりではなく契約にするほうがいいでしょう)
値段はソフトウエアの次のメジャーバージョンアップまで使い続けると、ちょうどそのソフトウエアの定価の2倍ぐらいになるのがちょうどいいと思いますが、ここで「損益分岐ぎりぎりにする」とかではなく、きちんと利益の上がる値段にすべきです。極端に高くならなければ。
もちろん動画投稿サイトの仕様に合わせて機能を制限するとか(画面サイズの上限制限とか)、ライセンス的に他の動画投稿サイトにはアップロードできないように制限を加える*4かわりに安く提供するとかあればさらにいいでしょう。*5

こうしたセットにしたパッケージの月額販売は、まずは当然とりあえずこれを契約し、後はコンテンツを自分で用意すれば、何が必要で何が不要かすらよくわからない初心者でも意図を伝えるだけの動画ができると言う分をパッケージは用意します。
が、その後用途別パッケージなども用意したり、そしてそれぞれセットになっていない特定のものだけでも帰るようばら売りもして契約しやすくすることが重要だと思います。そうすればすでに環境を整えているユーザも取り込めるはずですので。

もちろん、すでにいろいろと存在する強力な動画制作支援ソフトもたくさんあります。それらを強力に支援して、そのサポートを有料で請け負うとかもいいかもしれません。
とにかく今は、特定の分野に詳しくてその件について何か動画を作りたくても、動画製作とコンピュータの知識が一般常識レベル以上のものがないとできない状況があるのです。この需要を満たして支援しつつ、その代わりお金を頂戴する。いかがでしょうか。

同種の提案には、その他には、会員限定の動画撮影のコツなどを、有料できちんとお金を払わなければ教えてくれないようなプロの人を招いてサイト上で講義を行うとか、見せ方についてプロのアドバイスをもらえるとか(もうちょっとゆっくり喋った方がいいとか、ライティングを工夫すればとか、マイクはこれを使う方がいいとか)動画撮影・動画制作をより簡単に、手軽にするための研究活動をして、その結果を広げるとか、ノウハウ集を作るとか言うこともアリだと思います。
個人で所有は難しいが、あると制作の幅が広がる特殊機材(防振マウント付きのカメラ車載マウントとか、大型望遠レンズとか、3Dプロッタとか)を、レンタルメーカと組んで貸し出しや、年間料金で安価なビデオカメラを貸し付ける(12ヶ月払えば返却不要とかだとうれしい)とか、どうしても欲しいが自分では作れないと言う素材を作ってもらうといったサービスも、余地はあると思います。


自分でできることで金をとるのか、と言う視点について

こういう商売を出すと「そんな(技術があれば)無料でできることを、何故有料でやるのか、成功するわけがない」といった話になります。私も学生時代はそう考えていました。さらにエスカレートすると、無料なソフトウエアでできるとわかっているのことを、あるいは場合によってはオープンソースソフトウエアにフロントエンドをつけて有料で販売する行為そのものを、別にライセンス違反をしているわけではないのに詐欺師呼ばわりしたりする過激な人もいます。

ですが、世の中みわたすと、必要だけれど自分の興味が無く、面倒くさくて、任せられる専門家がいれば、手間を省くための経費をほいと固定費として出す人がたくさんいます。
出す人がいても、無料でできることを金をとるのはよくないという考え方もあるでしょう。ならばその商売は本来必要のない物なのでしょうか?、そんなことはありません。なぜならばそういう商売の人がいなければできない人はたくさんいるからです。

コンピュータは簡単に使える人は簡単に使えます。そういう人たちが「簡単にできることで金を取るのはよくない」というのは、自動車に詳しい人が「大抵の整備は簡単にできるから、そんな事で金を取るのはよくない」と言うようなものです。自分にできないことを提供し、対価にお金を払う。そこには確実にお互いに幸せになれるわけで、こういう発展的な商売はどんどん広がっていくべきですし、技能を売る商売はこういった原理で成り立っていると言っても過言ではないと思います。

ただし、こういう商売は、自らが常にプロフェッショナルである必要があるという点で大変ではあります。それは今インターネットを探すことで情報を簡単に手に入れられるのですからそれは急速にハードルは上がっています。
ですが動画製作のような特殊な分野は今までプロしかできなかったようなことが、急速に一般に降りてきた事項です。動画製作のプロしか持ち得ぬノウハウなどもたくさんあるはずですから、まずは今は、この事業を手がける意義はここにあるのではないでしょうか。

もちろん、それは自らの知識を無料で出したり、広めたりすることを否定する物ではないのは念のため書き加えておきます。というかそれも賞賛されるべき行為だし、ありがたく思っている人はたくさんいます。もちろん私もそうです。そしてそれを「儲からなくなるからやめろ」等と脅すという輩はプロの風上にも置けないと思います*6

そして正の循環を作り出す(と言う捕らぬ狸の皮算用

こうした動画作成支援をすると、今までとは違ったそうが動画を作れるようになってくるのではないでしょうか。するとどうなるかというと、このサポートがあったからこそ動画が作れた……意地悪いひっくり返し方をすれば、その手厚いサポートがある動画サイトでしか動画を作成できないという人間がたくさん出てきます。こうなればしめた物です。
即ち、特定のコンテンツを作成する人間を強く囲い込んだことになります。

するとどうなるか。それが独自のコンテンツとなっていくでしょう。そうなれば今までと違った層が視聴者としても流れ込んでくることになりますし、広告を見せる幅を広げることができますから、広告モデルの収益を上げることも不可能ではないでしょう。もちろん視聴の有料会員は増えます。
そして見た人が「自分も動画をつくってみたい」と思ったらしめたもの。「うちのサイトでは多少お金をいただければ、こういったソフトが使えますよ。一通りセットになってます月額だから使いやすいです」とアピールできれば、新たなヘビーユーザをゲットできます。

このように制作側をどんどん広げていけば、さらに進めば今の「スポンサー」制度ではありませんが、単なる「広告」ではなく「ここに広告を出せることが一種のステータス」と言う風にできれば、あるいは「広告という形で文化を支援しているんだ」と言った形まで持って行ければ*7、もはや収益に困ることはなくなるのではないでしょうか。

まぁ、壮大な捕らぬ狸の皮算用的妄想なのですが。


そして考えつく問題点

まずは商品の質とねだん。これは問題点ですが当たり前なので置いておくとして、この話で一番ぬけていること、それは動画製作という行為をしたがる人間が、どれぐらいいるかと言うことですね。つまり価格にして商売にできるほどのボリュームが本当にあるのか。つまり市場の存在の問題です。問いいつ、そんなことは自分がなんか言えるような話ではないのだけれど。

後はそれだけのソフトウエア等をどうやって集めるかという問題も。が、ここら辺は案外大丈夫なのではないでしょうか。と言うのは、今Googleを初めとして最先端ではソフトウエアは従来のパッケージ売りっぱなしモデルが変革し始めています。そういうことはどこの企業でも意識していることなので、こういった販売チャンネルが増える事は考えられるだろうから、話の持って行き方次第では、現在の有名ソフトの特別エディションをそのまま抱き込む事もできるのではないでしょうか。

サポートノウハウ等も問題です。と言うのは動画投稿サイトができはじめてまだ数年しかたっていない上に、まだ黎明期でノウハウと言えるほど固まっていない部分がたくさんありすぎるので。ですが黎明期だからこそ、それ専門にやりたい人間を動画サイト上で求人すれば、ある程度集まる気がします。そしてそれなりに意欲のある人間が職業的にやっていけば、時間はかかるかも知れないですが、確実にノウハウの蓄積はできるのではないでしょうか。また自社製作コンテンツのノウハウを投入とかがまず第1かもとも思います。


その他にはおそらく出てくる強力なライバル、特に集合知たる無料のコミュニティが持つ能力や、フリーの作成ソフトにも、それ自体で儲けるつもりなら勝ち続ける必要があります。

それからこの方式、プロではなくそれでお金を儲けようとしない趣味人だからこそ成立すると言うことも考慮しなければならないでしょう。つまり、コンテンツをプロの作成コンテンツを前面に出して、比重を移していくつもりであるならば、うまくいかないと思います。と言うのは「プロを目指せ!」という人を捕まえるのでは、非常にシビアにしなければならなくなって、うまみがありません。そうではなく「私もあんなことしたい」と言う人向けだと思うからです。もちろんそういった意味では「プロになりたいあなたのために!」とかそういうワナビビジネスのような宣伝の仕方は絶対にしてはいけません。


そして究極的には……さらに動画編集ソフトやハードウエアが発展してくれば、この支援ビジネスは意味を成さなくなるでしょう。オープンソースあるいはプロプラエタリなソフトウエアでも安く、十分に使いやすく、簡単なソフトと、それが十分に実用的な形で動作するハードウエアが安価で出てくれば不要になってしまうからです。つまり自動運転の自動車が完成したら、タクシーの運転手は失業するだろうと言った事ですが、それも問題点です。ですがまだすぐにはそういったことにはならないでしょう。そしてそうなったときには、すでに動画投稿サイトの争いは、決着がついているでしょう。それまでには、何かしなければ行けないというのが、趣旨なのかも知れません。もしかしたら、黒字化などしている場合ではないのかもと思ったりします。創業初期のAmazonのように。

と、まぁ素人がぐだぐだと書いてみる。まぁ所詮は妄想ですがね……。

*1:他にもたくさんあるだろと言う話はありますが、自分にとって高いソフトといえばそのあたりなので

*2:そうじゃない人ももちろんいるでしょうが。たとえば自分とか。

*3:エンコードは環境によっては長時間かかります。その間はコンピュータは使えなくなりますし、長時間電源を入れっぱなしにすることに抵抗がある人もいるでしょう。またエンコードのためにしか使わない強力な環境を用意することが割に合わないと考える人もたくさんいます。そういう人のために、高性能の中央サーバで、エンコードの演算を肩代わりするようなサーバーの事です。プロファイルを設定して、元データと設定ファイルをアップロードして、所定の時間がたった後にエンコードされた結果が所定の所に保存さえると言った具合

*4:例えば出力できる動画は、エンコードしたファイルを内包した専用形式しか出せないとか

*5:本来ならばWebアプリケーションにできれば一番いいのですが、大容量の動画で、ローカルと同じ感覚で操作ができるWebアプリケーションが開発できれば、たぶんそれだけで赤字解消できます

*6:とは言っても、そういった自らをのばすのではなく、他人をけ落とすことで地位を守ろうとする輩は、すぐに自滅するでしょうが

*7:テレビでもこういった視点でスポンサーになってきた会社は結構あると思うのですが、最近はテレビ自体がそういうブランドイメージを維持できなくなってきていて、そういった文化のために支援すると言ったスポンサー……と言うよりパトロン(後援者)という感じでしょうか、そういう利益追求型ではないお金を出すときに「そうかならば意義がある」と言ってもらえるほどの力がなくなってきているような気がします。個人的にはコンテンツの有無よりも、こちらの方が深刻ではと思います。閑話休題