高森太郎の日記。@hateblo

高森太郎の日記のはてブロ版です。

戦没者遺族を狙った悪質な訪問販売の話。

本日、法規制はないが、ある意味「他人を欺く行為」としての詐欺的と感じる商売に遭遇した。これは弱みというか、日本がもっている歴史的背景を利用し、悪質と判断せざるを得ない事例である。
私は言うべきことを言ないという事も欺く行為の一種であると考えている。
検索などで何か引っかかって参考になる方がいれば幸いである。

要旨

戦前戦中生まれ以上の高齢者を狙い「戦没者を供養して後世に伝えるため、一枚の額に顔写真と勲章等を載せて、その名と戦没地などを乗せたものを作らないか」というセールスをかけるものである。
訪ねてくる人間は詳細に戦没者の情報を持っているが、これは各地域の遺族会が作った戦没者名簿(英霊簿、等と別の名前で呼ばれていることもある)を利用しているためであると考えられる。
出来上がってくるものは、

  • 遺族が提供した写真
  • 最終階級に合わせた襟章と勲章を印刷して周りに配置
  • 非常に簡単な真鍮の彫刻プレート
  • 油彩用の額縁

であるが、これで十万円以上の金額を請求するものである。我が家では約15万円の請求であった。
私の見立てでは、直材原価を半額とし、粗利を5割で高く見積もっても三万円以下と考える。

セールスの特徴としては

  • 戦没者名簿を持ってそれを元にセールスを仕掛ける
  • 戦没者と直接同じ時期に生きていた人間かをしつこく聞いてくる
    • 年齢を確認すると同時に、戦争について特別な感情を持っている世代かを確認しているものと考えられる
  • このままでは戦没者の記憶が薄れてしまうのでその記憶を留めるために、といった文脈から、これを購入しなければあなたは英霊に敬意を払っていない、といったすり替えをして訴えてくる

対処法として、契約直後であればクーリングオフが可能である。
契約後でも、書面と口頭でクーリングオフの説明が行われていない場合は、クーリングオフ期間が過ぎても解除することができる。(彼らはこれが商品の購入であると言う事を意識させず、善意でやっている無償の団体であると装っているため、この手の説明をしないのではないかと言う)
その他、契約が成立してしまっていても、地元の窓口に相談することでアドバイスなどを得ることができる。

今日の経緯

お宅の戦没者を慰霊するために、写真と勲章入りの額を作りませんか?という商法が我が家に着ていたこと、そして父が注文していたことが判明したのは、2012年7月8日である。

納品しに来たところであった。
全く知らなかったのでどういうものかと聞くと「戦争で死んだ大伯父さんたちの勲章と写真を一つの額にいれてかざってはどうかという人が来て、それで父が注文したのだ」という事である。遺族会の方からという話であったが遺族会という組織はすでに、特に地元では日本遺族会のための集金組織としてしかまともに機能してない事は周知の事実であったため、怪しいと判断。
さらに遺族会というガチガチの保守的な組織では、基本的に地元の業者をしつこく使うのだが、来た自動車が福島ナンバー(近県ですらありません)であった事などを完治して品物を見たところ、それっぽくできているがかなり微妙なものだった。

言うなれば書割のセットのような。一見してショボイ。
価格を聞いた所、約15万円だった。これは話にならない。

というわけで
「これはクーリングオフはできないですかね?」
「もう6月に契約したのだからもうクーリングオフ期限は過ぎている。他にもこの地域で契約してくれた人はたくさんいるんだ、おい!契約書持って来い!」
(と言って持ってきたこの他の契約書もせいぜい3枚程度でそんなに数はなかった)
「他の方の事情はうちには関係ないですよね。父が契約したのですが私は知りませんでした。正直私には詐欺にしか見えません」
といった急に激昂。
「こちらは英霊の供養のために利益を取らずにやってんだ! 消費者センターに電話しても無駄だから警察でも消費者センターにでもかけたらいい!人の顔を見るなり詐欺とは何事か」
等と、ものすごい勢いで怒り出す。
そこで「あなたの顔を見ていったのではなく、商品が明らかに15万円するようなものには見えない。見た限り写真部分は印刷物でありこれらはパソコンがあればそれほど手間をかけずに作ることができるだろう。また、私は仕事から彫金などを手がける方とお付き合いがあるが、彫刻ではなくエッチングで行なってもこんな価格がするわけもない。粗利半分としても3万円以下程度だと思うがどうか」という話をした所突然「もういいわ。こんなところに祀る資格はない」等と言い出し、荷物をまとめて帰ってしまった。

調査結果

父に経緯を確認した所、

  • 6月上旬の平日に注文を取りに来たらしい。その時に見本を見せられ、またセールストークとして
    • ◯◯さんの家と、◯◯さんのい絵にもよってきた。〇〇さんの家は留守だった、といった地元の家の名前を出してトークを展開
    • ◯◯さんの家では頼んでくれた。☓☓さんの家は昔作ってくれたが今回さらに新しくしてくれた
    • みなさん戦争の記憶を留めるために作っている
    • もう戦後かなりの時間が立っているので、今回が最後の機会である
    • 19xx年に◯◯病院で亡くなっている、◯◯◯◯大尉、等と詳細に情報を加えてトークしてくる
    • 我々は善意から、利益を殆ど取らずにやっている
  • といった形を取ったらしい。
  • 価格については明確な価格表があるわけではなく「それぞれの方で異なりますから。おたくさんは◯◯◯◯だから安いですよ、ほかだと倍ぐらいかかる」などといって、約15万円という価格を提示した。
  • 父はその他にも色々と思うところがあって契約したようだ。

その後、すぐに写真を用意できなかったため、写真を貸し出した。その時に預かり証は受け取ったが、父曰く「契約書を受け取ってはおらず、またクーリングオフについての説明もなかった」という事だ。

また一番最初、父が出てくる前に母が応対したようだが、業者は

  • この家に◯◯◯◯大尉のご遺族が住んでいると聞いたが、彼のことを知っている人がいるか、という事を何度も訪ねてきた(この時そういった業者であるとは名乗らない)
  • 母が「私は嫁入りであり、昔のことはわからない。ただ祖母なら知っているかもしれない」と言うと祖母にあわせて言ってきた。しかし祖母は無理があるというと、他にはというので、父は少し知っているはずだというとそれにあわせて欲しいという
  • その後父に会いセールスを展開ということだった。

という事であった。

消費生活センターの休日ダイアルに連絡

今回はこれで済んだが

  • 業者はクーリングオフは無効であると主張していた(これもクーリングオフ期間が過ぎている事は自分の知識と合致していた)
  • 父は契約をしていた。(口頭でも契約は成立している)
  • オーダーメイド品を作っている

ということから、もし支払いを求められた場合、こちらに支払う義務が発生するのではないか、この場合今後どういった対応を取ることが必要か、消費生活センターに聞いてみた。
事情は上記の通りすべて話しをしている。

要旨としては

  • 今回書類の交付を受けていないということであるので、訪問販売の場合、契約する際に、書面と口頭にてクーリングオフの説明をしなければならないとされているので、それがなされていない場合、期間の定めなくクーリングオフすることが可能である。
  • 今回のような高齢者を狙ったセールスの手法としては典型的である。
    • 若い人間がいない平日にセールスをかける
    • 遺族会名簿など、高齢者の名簿を使う。
    • 近所の情報を話して信用させる
    • ◯◯さんの家は契約した、等と言う言葉をセールスに使う
  • 価格表が明確に存在せず、相手に応じて価格を自在に変化させる……値踏みして価格を変え、大幅に割引をしたりするのも典型的である。
  • これらの高齢者を狙ったものは、マニュアル化された対応がある。断られたところで激昂してみせたのもおそらくマニュアルであり、怒ることで驚いて払ってしまうこともあるからだ。
  • 高齢者の家を狙ったものの、若い人間が出てきて断ったケースでは、多くの場合業者は二度と来ることはない。万が一来た場合は「失礼な態度で」しかるべきところに相談したら、お金を払う必要はないと言われたので払いません、といい、会話を切り上げて長く話をしない事。

消費生活センターの担当者の方は、どうやら父が契約書を書面で交付されていない、というところをそこが記憶違いあるいは行き違いなのではないかというところを若干疑っていたようだった。あるいは預り証と言われて渡されたものが、契約書的な内容が書いてあったのではないかということを考えているようだった。

契約書が見つかって、あるいは相手が出したという主張して来て、契約があるのだから払えという話でこじれたとしても、その場合でも地元の消費生活センターかそれに連なる担当の窓口に相談することが大切であるとのことだった。
しつこく来る場合は地元の消費者保護窓口、さらに長時間ドアを叩くといった事態にまで発展した場合、警察を呼ぶことも選択肢の一つとしてためらってはならないとのこと。

また近頃太陽光発電についても悪質な訪問販売があるという事をおっしゃっておられた。これも高齢者の家を狙っているらしい。地元の信頼出来る工務店などに相談すべきなのだとか。

セールストークで出てきた情報について

セールストークの中で出てきた情報は、以下のように実は手に入る。

  • 戦没者の名前や戦死した時の情報、最終階級、勲章等
    • 各地の遺族会で戦没者の名簿が作られており、この中で見ることができる。この名簿は遺族会の会員に有償で配られたのがほとんどであるが(これ自体も同窓会名簿商法的なものだよなぁと思うが、一時非常に流行った)中には市販をしていた場合もあるし、また配られたものも名簿業者や名簿類専門の古書店などに流れている場合が結構あるようだ。これらを参照すれば用意に得ることができる。また、地元の公共図書館で収蔵されており、場合によっては貸し出しも可能なこともあるようだ。
  • ◯◯さんの家に行った、等といった地元の地理的情報
    • これは単純に住宅地図で入手することができる。

話している内容が、マニュアル的にちょっと調べれば入手できる内容かどうかを頭の中で考えておかないと、商品に対する正統な評価に影響を与えることになる。
少なくともこれらの情報を相手が知っていたとしても「よく調べたんですね」という程度の話であって、それが何か特別な意味(例えば、遺族会が全面的に協力しているとか、地元に詳しい業者であると言ったこと)は基本的に無いのである。
これはこの他の学校組織などでも同じで、その組織の話や地元に詳しところを示すことで、まるで公認をもらっているかのように錯覚させられそうになるが、現在はこういう「消防署の”方”から来ました」が多かったので本当に公認や委託を受けている場合には身分証などを示すなど他の証明がなされるはずである。

感想その他

日本人の、ある一定以上の年齢の方は特にだが、戦争に対しては特別な感情を持っている。
正直、この部分に漬け込んだ商法であり悪質だと思う。

彼らが特に敬意を持っているわけでないのは間違いがない。例えば業者の人と話をしている際、その時に自ら持ってきた写真と額をぱんぱん注文伝票を丸めて叩きまくるという事をやるのだが、商売人として注文書というものをまるめてばしばしするのも論外だし、本当に戦没者に敬意を持っているのであればその持ってきたものを叩くというのも論外である。
さらに、父も呆れたのか「話をするのはいいが、写真を叩きながら話をするのはやめてくれ」と言ったりもした。
自分はカタログは見ていないが、カタログよりも実物はかなりちゃちなものであるという印象を受けたそうだ。

品物も、自分がパッと見た感じだと、写真を取り込んで印刷したものを台紙に貼り付け、勲章も当然印刷物である。そこに真鍮に名前などを刻んだプレートがあるのだが、このプレートが単純に切断しっぱなしで、橋がダレている代物である。彫刻機で適当に削ったものだ。額は油彩用の厚いものである。一見これは立派に見えるが実際には油絵用であれば必ず高価な高級品というわけではない。

額は最大限高く見ても8000円程度だろう。思いっきり金メッキの成形品だったので実際には更に安いと思われる。真鍮のプレートは単純に彫刻しただけであり、職業的な経験でだが、メーカに依頼すると彫刻込で一枚2000円程度である。これが2枚で4000円。ネットで検索したらデータ支給でもっと安いものがあった。さらに30万程度の彫刻機で個人でもできる。
更に言うとこのプレート、端が切りっぱなしでタレていた。すこしまるまったようになっているのである。普通はこれ、このままだと見かけがすごくやすっぽくなるので、ハンマーで叩いて整えるのだが、それすらしていなかった。そしてテンプレートにスキャンした画像をはめ込むだけでできる台紙が5000円とかなり高く見込んで直材が15000円……。粗利十倍は無いのではないか。サービス料金が高いんだとか色々あるが、そもそも売りつけに来ておいてサービス費もあるかという話もしたい所である。さらに価格表がなかったところで値踏みをしているようで、更に高い金額を出している方の存在も想像に難くない。(というか父がそういう話しを匂わされたそうだ)

その商売も、ある種の人間が持つ戦争に対する抗いがたい感情を利用して、そこにつけいり「記憶に留めておくにはこれが必要」という話を「これを購入しなければあなたは英霊を大切にしていない」という形で一瞬ですり替えるようなセールストークの展開は、どうにも自分には悪質に思える。
双方が納得すればいい。しかし、こちらから提案したものを受け入れなければ、あなたの英霊に対する思いはそんなものなのか、的に論法を展開して同意を取るということはいかがなものか。
また捨て台詞が「お宅に祀る資格はない」だったが、なんでどう見ても価格に吊り合わないものを高く売りつけるのを拒否すると祀る資格がないになるのかが分からない。昨日だってお墓に草むしりと除草剤を巻きに行って来たところである。

ネットで検索しても情報が出てこない。彼らが戦没者が生きていた時代と同じ時代を生きていた人間をターゲットにしているとするともはや70歳以上であり、具体的に記憶があるとなるとさらに上であるから、あんまり情報が出てこないのだと思う。業者は東京に本社を置き、工場は福島県だという。
検索すると電話帳的なページに当該の会社がでているので、会社は存在しているようだ。が、ホームページ等はない。記載を自分の済むところはそこからかなり離れているので、営業範囲を手近な所から広めていったと考えると、相当数にたような商売をやっているだろう。
子供や孫も、先祖の供養のためにと言われればあまり突っ込んでいくらかかったのか、といった話はしないのではないか。反対しにくい空気がそこにあるいは、一緒に住んでいなかったらあまりクチを出しにくい部分だと思う。だからインターネットに情報が上がらないのであろう。

商売としてはよく考えられた商売だと思うが…不景気なのだろう。みなが生きていくのは大変だと思う。しかしこれらの商法に納得して金を出すのであればよいが、そうでないのであれば、流されることが無いようにしたいと思う。

Sony ReaderのDRMの詳細を探る ~ もしかしてSONY のDRMは現状一番マシでは ?

もしくはSONYのステマその2?(ぉ

前回DL1年制限に惑わされるな! SONY Reader編 ~現状最強は紀伊國屋だけど SONYもがんばってると題したエントリーをあげたが、その中では仕組みの話をしたが、実際にSONY Reader一本しかもっておらず、SONY Tablet等を持っていなかったので実際どうなのかと言う話ができなかった。

その中で

Reader用にダウンロードしてあるデータを、バックアップ・リストアと同じ手順でTabletへ転送できるかは不明。両方持ってる方だれか試してください!*3
もしこれが可能なら、クラウドストレージにmhnデータを保存しておき、ダウンロードしてきてReaderアプリで開くというプチ仮想本棚みたいなことも可能かも…?

等と書いたのだが、このたびついに誘惑に負けてSony Tabletを入手したので、いろいろと試してみた。
と言うわけでその結果をまとめてみる。
その前に一つだけ。
この記事は高森太郎が勝手に試した結果で、メーカが保証したりするものでは当然ありませんのでこれを利用する際は自己の責任の下、十分に検証し安全を確保した上で行ってください

検証結果

結論から言うと、いずれも同じMY SONY IDで認証を行った装置上で、以下のいずれも可能であった。

  • SONY Reader用に、PC上でReader Transferアプリからダウンロードした電子書籍を、SONYタブレットにSDカード/ネットワーク他で転送して読む
  • SONY Tabletで購入して、SONY Tablet上に保存されていた電子書籍を、SONY ReaderにSDカードで移して読む

このとき、新たな認証は必要なかった。(オフラインでよい)
さらに言うと

  • 購入済みのファイルをSDカードや、USBストレージとして認識されたReaderにWindows上でコピーしても認識される
  • 購入済みの電子書籍データはデフォルトでは「000000000001E07A.mnh」などと適当な16進の数字になっているが、これ名前を変えても認識される(日本語可)

これはかなり大きい事で、これで事実上、自炊してマスターデータ(元の書籍)を削除した電子データと同じようにきちんとバックアップを取っていれば、1年の再ダウンロード期限はほとんど問題はなく、また機種を乗り換えてもおそらく再生できることが確定した。

だいたいの人は上記だけ認識しておけばいいけれど、これは実は非常に重大な事で、続いて詳細を書く。

実はSONY Readerが採用しているDRMシステムって現状最強じゃね?

上で書いた事が可能だと、

  • 普通にそこら辺にあるクラウドストレージを使って簡単に自分だけのクラウド本棚的なものを構築できる
  • SONYがもうちょっとがんばれば、DRM付きとしては一番最強の環境を構築できる可能性がある

と言うことがある。いかに説明しよう。

まず、前回の記事にも書いたように、SONY Readerが採用しているMarlin DRMは機器に認証を与える形式のDRMである。そのため、個別ファイルは普通のデータとして流通できる。コピーに何ら制限はないが、開くことができるのは、認証された機器だけであると言う特徴がある。
また、今回実験した結果では、ダウンロード購入したデータは、自分でエクスプローラなどで開いて名前を変えても正常に認識される事が分かった。Transferアプリなどで「保存場所を開く」とすると当該のファイルがポイントされたままエクスプローラで開かれるので、そこでささっとリネームできる。
そうしてリネームしてわかりやすい名前にしたファイルを、Dropboxなどの汎用のクラウドストレージにあげてしまえば、あっという間に自分だけのクラウド本棚が構築できるのである。クラウドの保存しておいて、読みたいときにダウンロードして読むという形だ。
もちろんSDカードに保存しておいて、読みたいときに差し替えるとか言うことも普通にできる。これらは完全にネットワークの先に預けるしか選択肢のない各種クラウド型の読書システムよりも自由度が高いといえる。

次に、SONYがもうちょっとがんばれば、という所だが、これは以下を改善するととおそらく使い勝手で勝ることができる。

  • 購入する電子書籍の保存する名前形式をファイル名で認識しやすいものに変更する。
    • 著者名『書籍名』的な形で。カスタマイズできる機能があればかなりよい。
  • Andoroid/iOS/Windows/Mac向けにビューアーソフトを出す。
  • mnhのメタ情報(著者名、出版社名、タイトル等の暗号化されていない情報)の形式フォーマットを公開する

ビューアを出せというのはすぐには難しいかもしれないが*1、そのほかはすぐにできるのではないだろうか。
これが実現されるとどうなるかというと、

  • どのプラットフォームでも読める環境を構築できる
  • オンラインを前提とする必要が無いので、一度機器認証すればオフラインでも読める
  • 汎用のクラウドストレージで、いつでもどこでも読むことができる*2
    • クラウドストレージ側がやる気があるなら、mnhからメタ情報検索を可能にできる
  • コピー、バックアップは自由
  • DRMの仕組みが相互乗り入れを前提としているので、一つの機器で複数の電子書籍ストアの書籍を読める

これは、紀伊國屋書店やAmazonが米国で展開しているKndle等、クラウド型のサービスより自由度が高い。
また、DRM付きのコンテンツにおける最悪の事態…サービスが終了して認証サーバが停止すると言う事態にも強い。
一度機器認証を行ってしまえば、定期的に再認証を受ける必要が無いので、装置が壊れなければ半永久的に読み出すことが可能と言う性質があるの。なので親玉が死ねば全部死ぬ完全にクラウド化されていてこちらのコントロール権がないやつよりはマシである。

また、ファイルの流通に対して、始めに暗号化して渡す所以外はあまり頓着する必要が無いので、便利なクラウドサービスなども作りやすい。
さらにはMarlin DRMは公開されたDRM規格であり、汎用のサーバソフトウエアなども市販されているので電子書籍屋が導入しやすいDRMだ。そういう性質上、双方が同意すれば機器に対して相互に乗り入れが可能になる所も大きい。クリティカルなポイントが分散できる事になる。

個人的にはKindleが普及して全部デッドロックされるより、SONY Readerが採用するMarlin DRMに乗り入れする形で複数の電子書籍ショップが繁栄していくのが数倍もマシであると思う。

さて、最後に…。ここから先は邪推でしかないのだが。
SONYはここらへんの事情をあんまり大きく言えないのではないだろうか。クラウド型のサービスは「いざとなればこちらでコントロールできます」という事ができる。
SONYのもそういう言い方をできる限りしておく必要があるのではなかろうか。
正直「Transferアプリを使わなくても実はコピーするだけで転送できます」とか「ファイル名をわかりやすい名前で保存する」とか「ファイルは自由に保存できますが、登録した機器でしか再生できません」という説明はできるはずだ。でもこれはできないのは、いろいろと事情があるんじゃないか、と思う。
実は上記内容は、tabletを購入する前に、SONYに問い合わせた。すると「DRMの仕組み上可能ですが、試してないのでできるかはわかりません。なお、電子書籍の実態ファイルの拡張は「.mnh」です」と言う何とも煮え切らない…中の人の苦悩が透けて見えるような…そういう答えが返ってきたりしている。
つまりはそういうことなのではないのだろうか?

自分はDRMはさっさと消えて滅べと思っている。こんなもんはユーザが考えることではないからだ。
しかしどうしても必要ならば、ユーザができる限りそれを意識せずに扱えるのが大事である。そういう点で、このMarlin DRMは非常によくできている。
一方自分は電子書籍であろうと多様性が必要だと思う。一社が独占して強くあり、後は有象無象というのはWebやコンピュータの世界ではあたりまえではあるが、電子書籍ストアなどがそういった状況になるのは厳しい。しかし、DRMは必要悪として必要ならば、できる限りオープンな仕組みで、統一される方がよいと思っている。

そういう技術的以外のつまらないしがらみがあって大変かもしれないけれど、とりあえず今後ともがんばっていただきたいと思う昨今でございます。
紀伊國屋書店が電子書籍ストアとしてはクラウド型とMarlinDRMを採用してSONYReaderに対応するなどアグレッシブにがんばっていただいているが、品揃えはReaderストア以下で結構苦戦している。
そういうところで、是非がんばって、特に末永く電子書籍をやっていってほしいと思う。

余談 SONY tabletDLNAについて

どこかに「DLNAがSONY製の機器でないとつながらない」という書き込みがあるが、これは誤解である。
少なくとも、自分が所有しているFreeNASに搭載されているUPPERというGPLDLNA対応サーバソフトや、Windows7のWindows Media PlayrのDLNA、NEC製ルータに搭載されているDLNAは認識したので事実では無いと思われる。

注文した後この書き込みを見つけ「え。マジで…?」と一瞬落ち込んだが、実際に届いてから試したら普通に動いたので一応書いておく。
まぁDLNAは意外とサーバとの間で相性問題が結構あるので動作が怪しいことはままあることではあり、その場合でも他のDLNA対応ソフトを使わせていただければいいだけだけれど。

*1:特にMarlin DRMは専用ハードウエアを用いる事が前提のところがあるそうなので…ただ、ARMにはセキュアな情報をハードウエア的に扱う仕組みがあるそうなので、それを利用して何とかならないだろうか?

*2:実はSONY Reader Storeは再ダウンロード期間に明確に制限のないものは無制限なので、すでに一部を除いてクラウド本棚化されているとも言える

DL1年制限に惑わされるな! SONY Reader編 ~現状最強は紀伊國屋だけど SONYもがんばってる

もしくはSONYのステマ?(ぉぃ
日本の電子書籍はどこへ向かおうとしているのかと題されたエントリーがあり、確かにこれはないわー、だけど紀伊國屋こんなマヌケな設計するかなぁ、と思って読んだのだけれど、それに対して「DL1年制限」に惑わされるな!Kinoppyは現在最強のクラウド電子書籍だという記事があがっていた。
自分なりに要約すると

  • 再ダウンロード期間というのは、ストアから仮想本棚(クラウドストレージ)に移動する期限の事である
  • 仮想本棚からアプリ側が同期する行為はダウンロードでは無いため、仮想本棚から消さない限りはサービスが続く限り同期できる。
  • 実は本棚から削除しても復帰する機能も残っていたりするんで実質的に問題にならない。

と言う話のようだ。これなら安心である。こんな事情になっているとはしらず大変参考になった。
しかしこのなかで

ただ、この「本棚」というクラウド管理が使えないSony Readerの場合はまた話が変わってしまうようですが

と言う話がでていた。と言う訳で僭越ながら、近頃読書というとReaderを使っている自分が気になっていくつか調べたり、知っている事をまとめてみる。

Readerのダウンロード1年制限はどうなってる?

結論から言うと、Readerについてもそれほど気にする必要は無い
ダウンロード購入したコンテンツは、ダウンロードと転送にこそ専用のアプリケーションが必要だが*1*2、その実体ファイルは普通にエクスプローラなどOS上で見ることができ、コピーなどもできるので、後は失われないように通常のファイルと同じようにバックアップさえ取っていれば読むことができる
ダウンロードしたPCには、Windowsの場合デフォルトでは
(My Docments等)\eBook Transfer Archive\Sony Reader\books\
に保存がなされる。(変更もできる)Macの場合も似たような感じになっていると思う。

Readerは接続するとUSBメモリのように見る事ができ、
(ドライブレター):\Reader\database\media\books\
以下に保存される。

バックアップする時には、PC上の「eBook Transfer Archive」を丸ごとディレクトリ構造そのままバックアップを取るのが一番よいらしい。書き戻すときにはそのまま上書きすればよいそうである
このフォルダをクラウドストレージに上げておけばクラウドの上でバックアップする事もできる。またダウンロードしたコンテンツは、読み出すときには個別にオンラインで認証を必要としない。なので機種を買い換えたとしても、始めに一回機器認証さえすればそれ以前に購入していた電子書籍も読める。(ダウンロード期間に制限がない場合は直接ダウンロードしても良いけれど)
さらには、認証の主体が機器(Reader本体)であるので、Readerで本をダウンロードするPCは常に同じPCを使わなくてもよかったりする。

ここらへんはSONY support Q&A Reader Store で購入した電子書籍を、別の Reader で読むことはできますか?及び「SONY support Q&A パソコンを買い換えたときに何か準備は必要ですか。等を読むとイメージがつかめるかも知れない。後者の「パソコンを買い換えたときに何か準備が~」ではパソコン間の電子書籍データ移動にReaderを使ってやれと書いてあるが、実際には「eBook Transfer Archive」のフォルダをごそっとコピー上書きでよいそうである。(サポートに確認済み)

一方、SONYタブレットでの対応だが、SONYタブレットは実際自分持っていないので分からないと言うのが正直な所ではあるのだが、SONY support Q&A [SGPT*]「Reader」アプリで購入した電子書籍のバックアップ方法は?によると、あっけらかんと普通にコピーしてバックアップしろと書いてある所を見ると、バックアップ・リストアはこれでできるのかもしれない。

ただしReader用にダウンロードしてあるデータを、バックアップ・リストアと同じ手順でTabletへ転送できるかは不明。両方持ってる方だれか試してください!*3
もしこれが可能なら、クラウドストレージにmhnデータを保存しておき、ダウンロードしてきてReaderアプリで開くというプチ仮想本棚みたいなことも可能かも…?
一方これが不可能だとすると(Sony tabletではReader用のデータが開けないとすると)、ダウンロードに期限があるデータで今後の機種変に支障が出ると思うんだけど、自分は普通にできるんじゃないかと思っている。
理由はSONY Readerが採用しているDRM方式がそう言うものだからだ。

技術的背景 Marlin DRMってなんぞ

以下、面倒くさくて分かりにくい説明がだらだら続くので要約を。基本以下の所だけ理解しておけばOK

  • Readerで採用されてるDRMPS3やPS Vitaと一緒
  • 機器認証さえすれば、同じIDに結びつけられてる機器なら同じファイルが読めるよ!(最大5台まで)
  • ファイルは普通にコピー自由。ただし暗号化されているので認証機器でないと読めません。
  • Readerを譲るときはあらかじめ機器認証を解除する事!

さて細々とした説明を。
こう言う事ができるのは、ReaderのDRMが「機器認証型DRM」である「Marlin DRM」であることが関係している。
Marlin DRMがどういうものかというとSONYの技術資料が非常に分かり易いが、

  • 機器認証すると、サーバから認証された対応機に復号化の鍵が渡される
  • 同一ドメイン(ReaderStoreの場合同じSONY ID)では復号化の鍵は同じ
  • 一度機器認証するとその後オンラインである必要が無い
  • オープンな規格であり、メーカを跨いで利用できる

と言う特徴を持っている。PS3,PSP,PSVitaを持っている人は、ここら辺で採用されているDRM方式だというとよりわかりやすいだろうか。
もっと砕いて言うと、

機器認証とは

  1. ユーザIDと、機器をあらかじめ結びつける機器認証をサーバが受け付ける
  2. 機器認証がなされると、サーバは対応機器向けに、ユーザIDに結びついた復号化の鍵を発行する
  3. 再生装置は鍵を受け取って機器に保管する
  4. 機器認証では、同じユーザIDに結びつけられた場合は同じものを復号化できる能力を持つ鍵を発行する。*4

と言う事をする。

コンテンツ購入では

  1. ユーザIDで購入がされると、サーバはそのユーザID向けの暗号化DRMを施して送信する
  2. 再生装置は受け取ったデータを、機器認証の時に受け取っていた鍵で復号化処理して再生する

と言う事になる。
この時のポイントは、

  • あらかじめ鍵がやりとりされているので、この時は再生機器はサーバに情報を送信したりする必要がない
  • DRMの鍵は、ユーザID毎に管理されているので登録されている機器であればどれでも再生できる
  • データのコピーなどは自由にできる。(ファイル再生には制限がある)

と言うところがある。

この他、Marlin DRMのポイントとして、機器認証済み装置の死活管理がされないと言う点もある
一度機器認証された装置はその鍵には有効期限がないので、機器認証サーバの提供サービスが終了しても読むことができるわけである。一方これは権利者側にとっては弱点でもあって、ここで機器認証台数が多くなってしまうと、認証した上でオフラインにすると言う事をされるとコピーできてしまうことになる。このため各社機器認証できる台数を制限しており、ReaderStoreの場合は5台、紀伊國屋の場合は2台といった形になっている。
紀伊國屋は偉い渋い気がするが、そもそも紀伊國屋は自社プラットフォームで他の端末でもよめるので、Readerに限って2台という事を考えるとそれほどでもない。また機器認証は解除する事ができるので、買い換えの際には認証を解除してやればよい。
ただし、この時、機器認証は機器認証している装置の実機がないと解除できないので注意が必要である。譲るときには確実に機器認証を解除してやらないと、自分の機器認証の回数が減ることになる。またPS3の例を見ると、故障した時の救済策はあるようだ。

このようにAmazon KindleやAppleが採用するDRMと同じように、従来失敗したDRMが持つ難点

  • バックアップができない。普通にデータのコピーができない。
  • 対応機器ごとにいちいち認証をしてデータをダウンロードし直す必要がある
  • 鯖が死ぬと購入済みのデータも読めなくなる

と言う所を改善した方式であると言え、AmazonやAppleDRMと同等、あるいはそれ以上に柔軟なDRMである。

さらに、Amazon KindleやAppleが採用するDRMと大きな違いがあある。それは、Marlin DRMはオープンな規格*5であり、囲い込みがなされていない、相互乗り入れが(技術の上では)可能だということだ。
すでに地味にいろいろな所に採用実績がある。一番大きい所はやはりPlayStation商品群だが、この他聞くに、近頃流行のIDに結びつける形のDRMではかなり採用されているとのこと。Panasonic、SONYが中心になっているが、検索すると富士通がミドルウエアを販売するサイトが出てきたり*6外資メーカのライブラリが出てきたりする。またサーバサイド機器、あるいは組み込み向けのライブラリなどもかなり充実しているらしい。
SONY Readerが、自社サイト以外に、楽天、紀伊國屋書店の電子書籍ストアで販売されているDRM付き電子書籍を読めたりするのはここら辺に理由がある。

まとめ

  • SONY Readerの場合も1年ダウンロード制限はそんなに心配する必要はないよ。普通のファイルと同じくバックアップをとっておけばよいだけです。
  • Marlin DRMはAmazonやらAppleやらのDRMと同等あるいはそれよりも柔軟性がある一方、採用実績があり特定のベンダにロックされません。相互乗り入れもされます。
    • 日本のDRMはいろいろアレすぎた過去のイメージがあるが、実際そんなにAmazon、Appleに比べて劣っているわけではない。
  • 紀伊國屋の電子書籍ストアはSONY Readerにも対応してる一方、SONYのReaderStoreはTabletは自社製に限られる事を考えれば紀伊國屋最強説は事実。(品揃え除く)
    • ついでに言うと紀伊國屋の配布アプリだと暗号化処理されてないXMDFも読めたりしてすばらしい(非公式)。
    • SONYはAndroid用Readerアプリを自社製以外の端末に供給しさえすれば、あっという間に同等になれるのに…。(ファイルが元々自由にコピーできるので、専用のクラウドサービス必要無し)
  • 再ダウンロード期限を一年に区切る意味は正直よくわかりません。特にDRMがついてんだったらいらんじゃん。この制限、今後は徐々に消えてくんじゃないっすか?
  • というかなんでこんな事を考えて本を買わないといかんのか。DRMなんざさっさと滅べ。今すぐ滅べ。違法コピーしてDRM強化に繋がる行為をする輩も巻き添えにして滅べ

*1:これはDRMのための要求と言うより、データベースの更新に必要なのではと言う話だけど真相は知らない

*2:購入した以外の書籍は、専用ソフトを使わずに普通にエクスプローラ上からコピーすることも可能。ただしこの場合Reader上でデータベース更新がかかるので大量に入れすぎると時間がかかる

*3:と、書くだけじゃあれなので、可能かどうかSONYに問い合わせを投げてみた

*4:同じ鍵、と言っても良いかもしれないが、おそらくそんな単純な仕組みにはなってないと思われるので、回りくどい言い方をしてみた

*5:金を払い審査に通れば、規格を入手し加盟ができると言う点で。オープンソース等の真の意味でオープンではない

*6:そういえば富士通さん、フルカラーの電子ペーパーデバイスその後いかがですか?

自動車メーカは今すぐ軽トラのEVを作るべき

三菱自動車はいまMINICAB mievという電気自動車を売っている。これはi Mievの商用車版というような代物である。
なんでこんなもんが出てきたかというと色いろあるのだが、電気自動車を研究していくと、真っ先に経済的に純粋なメリットが見込めるのが、それほど広い距離を歩かないものの、ストップアンドゴーを繰り返す商用車だということになったかららしい。
このたぐいだと条件によって5年程度で採算が取れるのだという。というわけで、このバン型の電気自動車が売り出されたという事だそうだ。

だが。

今こそ言いたい。電気自動車は軽トラックこそに導入されるべきではないか?

というわけで以下その理由をダラダラと書いてみる。

農道の王者は今こそ電動化されるべき

狭い農道を、時に左右にベニヤ板まで装備してキャビンの上まで藁などを満載して疾走する姿、あるいはそこらのRVカーなど眼ではない悪路踏破性能など、農道を素早く走り抜けるために作られた機能美あふれる自動車である軽トラックの素晴らしさは今更語るまでもないが……というネタにされるほどいろいろあるが、軽トラックはその業務に特化した潔さ、その安さなどで非常によく考えられ、よくできている車種である。

例えば今時素でエアコンどころかパワステすらオプションだったりするその割り切りがある一方、フル装備にすると垂直リフトからダンプまでオフィシャルなラインナップとして存在するなど相当なものである。

究極の実用車と言って良い。
ありとあらゆる現場で使われる。
しかしどちらかと言うと軽バンに比べて更に走行距離は短距離だし、あまり電動化されてもいいことはないように見える。何より低コストを求められることももちろんある。
しかし、ここで言えるキーワードがひとつある。

それは「自動車の電源車化」
あるいは「パワーテイクオフ(PTO)のワイヤー化」

である。

軽トラが電源車化されると何がよいか?

例えば農作業において。
現状たとえば農薬散布やらなんやらの作業では、軽トラの荷台に別のエンジンが付いた、エンジンポンプやら動力噴霧器やらを載せて別の動力を動かすことで作業を行なっている。農作業の季節になるとそういう様子を見ることができる。
一方、市場に間に合うように早朝というかまだ未明といって良い時間に収穫を行う野菜農家がある。彼らはまだ暗いうちに作業するためにし専用の発電機つき照明を使っていたりする。


例えば建築業において。
建築業では作業に圧搾空気やら電動工具やらを使う事が多い。そのためにトラックの荷台に発電機やら、コンプレッサーやらを積んで行動することがある。大きい工事ならば工事用電源などを引くことがあるが、そうでなければこういったものを使う。


これらはわざわざ別の動力源を用意しているのである。これが軽トラが電源車化されてそこから電気を取って動けるようになると、これらが全部電化できる。

電化できると何がよいかというと、簡単には

  • エンジンよりも一般に燃料の効率が良い(燃料代的な意味で。ガソリン税払わなくて済むだけ違う)
  • 静かである
  • メンテナンスが楽
  • 操作が楽

という点がある。

まず燃料効率が良いのは非常に良いことだ。純粋にエネルギー効率的には電気のほうが良いのだが、実際は途中でバッテリーが入ったりして多少は効率は落ちる。しかし、発電機やらコンプレッサーやらを回すために使われるガソリンは例外なくガソリン税が含まれておりそれだけで経済性という点でかなり落ちる。

また静かであるというのもメリットである。農業だと特に住宅街に近い果樹園で

  • 昼間防除作業(農薬散布など)をすると風があるので農薬が飛散しやすくて苦情が出る
  • というわけで早朝一番でやろうとする
  • 今度はうるせえと苦情が来る

というどうしようもない事態がわりとそこらじゅうで起きている。
もちろん建設業者などにとっても重要なのは言うまでもない。この建設不況にもかかわらず重機の販売台数がそれほど落ちないのは、ひとつは中古重機の価格が落ちにくいため買い替えを行いやすいという理由もあるのだが、もうひとつは騒音低減タイプの需要の高まりがあるかららしい。確かに近頃の重機は静音になっているが、だからこそこういうものが必要になっているのだと思う。

その他にメンテナンスが楽というのがある。これは言うまでもないがとりあえず油脂類(燃料も含め、オイルとか)がいらないため、ここらへんは非常に負担が違う。モータはと言うとせいぜいブラシぐらいで、ブラシも適切なものを選べば相当持つし、交換もそれほど難しくない。さらに言えばブラシレスモータであれば完全にメンテナンスフリーを実現できる。
さらに操作も楽だ。とりあえず始動からして楽である。思いっきり引っ張ってスタータを回して稼働させるのは結構きつく、これもくたびれてくるとなかなかエンジンがかからなかったり、かけるのにコツがいるとかそういうことになりやすい。その他出力調整もリニアにできないとか、低出力で駆動させるとエンジンが消耗しやすいとか極端に燃費が悪くなるとかそういうことになるのだがこういった心配がいらない。

従来こういった難しいエンジンが使われている理由は単純には電源が無かったからである。
しかし電気自動車はそうではない。強力な自走式バッテリーとなり得るのだ。これは活用しない手はない。

従来自動車のパワーを取り出すにはPTO、パワーテイクオフといって動力出力用のシャフトをつかって動力を取り出すしか方法がなかった。またPTOで発電機をぶん回す者もない事はないが、自動車のエンジンはその場に留め置いて動作するようにできていないのでラジエター等冷却機能やらを強化するなどそのままではいかず結構面倒だったのだが、電化されるとより簡単にエネルギーを取り出せるようになるのである。

このPTO的に使う時間を考えると、実は軽自動車は商用車等に比べて圧倒的に使われる時間が長いのである。
ここを参入して考えると、かなりもとが取れるのである!

この他に軽トラックの荷台に出荷の荷造りをする機械(例えば野菜洗浄装置等)を載せて行って、畑でその場でガンガン詰めてしまうとか(従来これをやろうとするとトラクターの後ろに付ける巨大な専用装置を使う必要があった)、従来ならばPTOを使うために大掛かりな改造が必要だった専用装置も作りやすくなるだろう。

実用性はどうか? 必要なスペックとは?

では実用性はどうだろうか。少し考えてみる。
まず第一なのがどれぐらい使えるか、である。

現在minicab mievの容量は16.0kwhであり、これは16000wを1時間使えるエネルギー量ということになる。
(とりあえず効率の話は置いておく)

例えばアネスト岩田のエアコンプレッサー、一人用ならけっこう使える0.75kwタイプでも21時間稼働ができる。
同じく単相タイプでは一番容量の大きい動力噴霧器電動タイプ、3.5MPaまで加圧できるタイプで0.4kwでありこちらもざっと40時間も稼働できる計算になるのである。

これに畑や現場などにいく距離を換算しても、十分使える長さだと思うが如何だろうか。

しかし一方、多人数に供給するような大型のコンプレッサーや、5MPaで毎分50Lを超えるような供給能力を持つ強力なポンプ等を使用する場合には、途端にもたなくなる。この場合半日も持たない。
が、である。実は今の電気自動車のバッテリー容量は基本的に価格によって決まっている。
極端なことを言うと、金さえ積めばかなりのところまでバッテリー容量を増やすことができるのである。なので必要に応じて、バッテリー容量を増やせるようにオプションなりラインナップがくまれていればよいのである!
これらのヘビーな用途でも、今の2倍程度の容量があれば十分に事足りるだろう。

しかし軽トラックにそんな金がかけられるか?という疑問はもちろんあろうかと思う。しかし、である。
これを発電機をあわせて購入する、あるいは燃料代などに換算するとおそらくこちらのほうが圧倒的に……とはいわないが、かなり安くなるはずだ。とにかくそういうたぐいの装置は燃費が悪いということもある。またコンプレッサーや動力噴霧器などは不思議と、なのだが(おそらくエンジンのラインナップ的な事だと思われるが)エンジンだと一番安い価格帯を除けば、機材はモータのほうが安いのである。
こういうことをキチンきちんと計算すればかなり経済的メリットはあるはずである。

家庭用自動車としてみるとぜいたく品であるかもしれないが、業務用として考えると安いといって良いのではないだろうか。例えば自動車を中古の軽自動車で迷っている農家のおっさんが、一千万円近くするコンバインをローン組んで買っていたりすることはあるし、数百万円ぐらいする高出力のスピードスプレーヤーはある一定規模以上の果樹農家ならだいたい持っていたりする。
ボロッボロのトラックを長年使っている土建業のおっさんが、現場では騒音対策に最新式のバックフォーを使っているという後継も見ることができるだろう。

要するにこのあたりに活路があるはずだ。

軽トラの無限の可能性を更に引き伸ばす電気自動車化に、メーカは今すぐとりかかるべき

結論としてはメーカは今すぐ軽トラ版、というかミニキャブトラック mievでも、ハイゼットトラックevでも早く作るべきである、その時は単相100Vと3相200Vが取り出せる電源供給ユニットを標準装備して売り出すべきである。

さらに出すなら以下の仕様で出すべきである。

  • 4WD
  • 容量20kwhで走行距離160km。
  • 単相100V、3相200Vの電源供給ユニットを搭載

この仕様でなら補助金適用後300万円なら即注文する用意がある。

というわけで軽トラのevがほしいと騒ぐという話であった。

ミニキャブMiEV(軽バン電気自動車)のコスト計算をしてみた

思うところあって、ミニキャブの電気自動車版「ミニキャブMiEV」の燃費やら、差額の元が取れる期間やらのコスト計算をしてみた。
ミニキャブミーブは、年内にも市販が始まると言われる、三菱自動車工業製の商用電気自動車である。
詳しくはWEBCG『三菱ミニキャブ・ミーブ 10.5kWh仕様(MR/1AT)【短評】』などを参照。一応年内に発売開始予定だそうである。

計算基礎データ

設定金額は以下の通り。

品目 価格 出典
電気代1KWhあたり 22円 電力会社 従量電灯での料金
ガソリン1リットルあたり 160円 石油情報センター
ミニキャブミーブの一回充電の実効燃費 80km 10.5KWhバッテリーモデルとして、SPECの0.8倍
通常ミニキャブ実効燃費 13.8Km/L ミニキャブのカタログ値の0.8倍
ミニキャブミーブの価格(10.5KWhモデル・補助有り) 160万 報道より。おそらく当初は値引きしないと思うのでそのまま
通常ミニキャブの価格(5速MT,2WD) 90万 カタログ100万だが定価販売はほとんどされないため。
電気自動車の充電効率 0.9 適当。だけどかなり甘いかも…

とする。

普通に計算すると…

1kmを走るコストは

項目 計算 結果
通常ミニキャブ 160/13.8 11.6円
ミニキャブミーブ ((10.5*22)*.9)/80 2.6円

となるその差は9円/km。すると価格差が約70万なので、77,778キロ乗ると元が取れる計算になる。

通勤に往復一日30キロ乗るとして、年間勤務日数が230日とすると、通勤だけで元を取る*1には
77778/(30*230)=11.2721739
と言う事で、11年3ヶ月ちょっとかかることになる。長い…。
以下に年間勤務日数が230日の場合の、通勤距離別の元を取るまでの表を示す。

一日の走行距離(km) 年間の利用日数230日としたときの年間走行距離(km) 元が取れるまでの年数 年間の燃料代差額 燃料代差額の年利換算
5 1150 67.6 ¥10,350 1%
10 2300 33.8 ¥20,700 3%
15 3450 22.5 ¥31,050 4%
20 4600 16.9 ¥41,400 6%
25 5750 13.5 ¥51,750 7%
30 6900 11.3 ¥62,100 9%
35 8050 9.7 ¥72,450 10%
40 9200 8.5 ¥82,800 12%
45 10350 7.5 ¥93,150 13%
50 11500 6.8 ¥103,500 15%
55 12650 6.1 ¥113,850 16%
60 13800 5.6 ¥124,200 18%

安い電力が利用できるとすると…

ではもう少し工夫をしてみる。ここで充電に「低圧動力用電力契約」が利用できる場合*2、電気料金が1KWhあたり12円になる。この条件で計算しなおすと、1kmを走るコストは

項目 計算 結果
通常ミニキャブ 160/13.8 11.6円
ミニキャブミーブ ((10.5*12)*.9)/80 1.4円

となり価格差は10.2円/km、70万の元を取るためには68,628kmとなる。ここで距離別に計算すると

一日の走行距離(km) 年間の利用日数230日としたときの年間走行距離(km) 元が取れるまでの年数 年間の燃料代差額 燃料代差額の年利換算
5 1150 59.7 ¥11,730 2%
10 2300 29.8 ¥23,460 3%
15 3450 19.9 ¥35,190 5%
20 4600 14.9 ¥46,920 7%
25 5750 11.9 ¥58,650 8%
30 6900 9.9 ¥70,380 10%
35 8050 8.5 ¥82,110 12%
40 9200 7.5 ¥93,840 13%
45 10350 6.6 ¥105,570 15%
50 11500 6.0 ¥117,300 17%
55 12650 5.4 ¥129,030 18%
60 13800 5.0 ¥140,760 20%

と言う数字になる。

結論として…

個人で短距離の場合なかなか厳しい結果が出たが、通勤距離が片道25キロを越える場合は純粋に経済的収益が得られるので検討する価値があるだろう。
また、

  • 最高時速100キロ
  • 乗り心地?何それおいしいの?
  • インテリア?エクステリア?何ですかその都市伝説
  • 遠乗りは無理。半径30キロの往復が限度
  • 電気自動車は発展途上。耐久性や燃料代以外の維持費は不明な点が多い

等々相当割切る必要がある。なのでかなりのケースでセカンドカーとなるだろう。
ただし電気自動車であるという事で得られるメリットは、非電気自動車では絶対に得られないので、そこをいくらと考えるかというのも重要である。

一方、法人あるいは個人事業主が使うには条件次第で純粋に経済的メリットが得られるようになっているのはすごいなと思う。たとえばこのミニキャブミーブのテストをしたヤマト運輸では一日の走行距離が60キロ程度でストップアンドゴーを繰り返す運用らしい。運転手は交代するとして、整備等で年間ダウンタイムが20日で345日稼働するとすると、3.3年で元が取れ、元が取れた場合毎年21万経費を節減できる事になる。これだけでかけりゃ銀行も喜んで金を貸すだろうし、導入もするってもんである。
日常の足、道具としての電気自動車の普及はすぐそこまで来ていると言う感じがする。

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とりあえず今あるはてなダイアリーは放置しているので(ぉ これをきっかけに日記的な部分はこちらに書こうと思います。
何かしたとかのメモははてなグループノートの方にいろいろと。